2009 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸分析による鯨類の健康管理とストランディングの解明に関する研究
Project/Area Number |
21658101
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
太田 光明 Azabu University, 獣医学部, 教授 (20134504)
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Keywords | バンドウイルカ / 鯨類 / 海棲哺乳類 / 陸棲哺乳類 / 血漿アミノ酸 / 3-メイルヒスチジン / 抗酸化作用 / 適応 |
Research Abstract |
生理学的・栄養学的情報量の少ない野生動物、特に鯨類の飼育管理は極めて不十分で、人工飼育下では多くの鯨類がその天寿を全うすることができない(平成20年9月から10月にかけて四国新聞など9社で報道)。本研究は鯨類における血液、尿及び筋肉内のアミノ酸組成に関する基盤を構築し、その健康管理に応用することを第一の目的として、バンドウイルカ、カマイルカ、ハンゴンドウ、およびオキゴンドウの血漿アミノ酸、さらにバンドウイルカの尿中アミノ酸の解析を行った。その結果、それぞれの鯨類間の比較において、25アミノ酸中4~8アミノ酸に有意差がみられ、陸棲哺乳類の代表としてのマウスと比較において、25アミノ酸中11~12アミノ酸に明らかな差があった、特に、鯨類の血漿3-メイルヒスチジンは、マウスの約50倍の高値を示した。従来、3-メイルヒスチジンは、陸棲哺乳類では、筋たんぱく質分解の指標として広く利用されてきたもので、通常尿中に排泄される。しかし、鯨類では、尿中への排泄はごくわずかで、その大半が再吸収され、結果的に陸生哺乳類の50倍以上の濃度で血中に維持されている。この3-メイルヒスチジンは抗酸化作用を有することから、海棲哺乳類では、酸素を効率よく取り込み、かつ保持する必要がある。一方、酸素の持つ酸化作用や、代謝のプロセスで発生する活性酸素種を極力抑える必要がある。3-メイルヒスチジンはまさに、この抗酸化作用に関わるもので、鯨類の血漿中に高度に維持されていることは、生理学に極めて合理的なものである。数千万年前、陸から海に戻ったのち、海に適応した結果とも考えられ、例えば、こうしたアミノ酸組成の何らかの破たんが鯨類の「ストランディング」の原因と考え、ストランディング個体のアミノ酸分析を始めている。
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