2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21658112
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山内 靖雄 神戸大学, 大学院・農学研究科, 助教 (90283978)
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Keywords | 高温体制 / 光合成 / 光化学系 / クロロフィル蛍光 |
Research Abstract |
本研究課題では、他の生物種では見られない、植物に独自の光依存獲得性高温耐性機構の解明を目指し、遺伝学的手法により機構を欠損したアラビドプシス突然変異体を獲得することを目的とした。 突然変異体の作製は、突然変異誘発化学物質エチルメタンスルホン酸処理によりおこなった。ホモ化された変異株を播種し、25℃で4週間生育させたものを用い、光照射下40℃で1時間高温処理(以下、光40℃処理と略す)した後、引き続き暗下40℃で1時間高温処理(以下、暗下40℃処理と略す)した。野生株は光40℃処理により光依存獲得性高温耐性が誘導され、暗下40℃処理でも光合成活性の低下を示さないので、野生株と比較し顕著に活性の低下を示す個体の選抜を行った。変異体を選抜後、高温障害のダメージを回復させるため二週間25℃で生育させ、もう一度前述の高温処理を行い、再度顕著な光合成活性の低下を示す個体を選抜した。その後は25℃で栽培し種子を採取した。この一連の一次選抜により、約5,000のアラビドプシス植物体から13の候補系統を得た。 選抜された系統の種子を播種し、一次選抜と同様の方法により、二次選抜を行った。この過程で、12系統が光依存獲得性高温耐性を示さず、結果的に1系統のみが選抜された。変異体の獲得効率が低かったため、ここまでの過程で約一年を費やした。 得た突然変異体(lat,Light-dependent Acquired Thermotolerance)は、野生株と戻し交配、ホモ系統の選抜を行い、lat系統を固定した。遺伝子の同定を進めるため、固定したlat系統(Columbiaバックグラウンド)とLernsbergとの交雑を行い、キメラ系統(lat x Lernsberg)を作製した。現在は引き続き、ポジショナルクローニングにより原因遺伝子の特定を進めている。
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Research Products
(3 results)