2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21658113
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
湯淺 高志 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40312269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 眞理 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60091394)
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Keywords | ダイズ / オートファジー / エチレン / 遺伝子発現 / タンパク質分解 / ATG8 / ERF / EIN3 |
Research Abstract |
植物においてオートファジーは細胞内タンパク質の非選択的分解と老化に働いており,栄養飢餓がオートファジー関連遺伝子(ATG)を誘導することが知られている.ダイズのオートファジー調節メカニズムを調べる目的でATG発現変動とエチレン応答について解析した.オートファゴソーム形成に関与するGmATG8とGmATG4,エチレン応答に関与するGmACCS,GmERFの発現変動を解析した.またGmATG8iとGmEin3のタンパク質をイムノブロットにより調べた.ダイズの子葉切除胚軸を富栄養培地で前培養したのち,1)富栄養処理、2)飢餓処理(+プロテアーゼ阻害剤),を行った.飢餓処理+プロテアーゼ阻害剤ではGmATG8i,GmATG4,GmACCSとGmERFの発現レベルは増大した.飢餓処理ではGmATG8iとGmEin3タンパク質レベルも増大した.以上の観察から飢餓処理とプロテアーゼ阻害剤によるアミノ酸リサイクル低下がGmATG8iの誘導,エチレン合成の促進することから,エチレン応答シグナルの活性化がATG遺伝子の調節に関与する可能性が示唆された. ダイズ子実肥大期の摘莢処理によるシンクvsソースバランスの変化が窒素量、葉の老化とATG遺伝子の発現に与える影響を解析した.子実肥大期のSPAD値および総窒素量の変動からコントロール区ではR5期4-5週後,急激に両者の値が減少するのに対し摘莢処理区ではSPAD値と総N含量低下の度合いが半数摘莢区,全数摘莢区の順に減少したこどから,形態観察と同様に摘莢処理にともない葉の老化が遅延して青立ち現象が生じた.RT-PCRからコントロール区ではR5期後4週で顕著なGmATG8cとGmATG8iの発現上昇が示された.一方,半数摘莢区ではR5期後5-6週目にGmATG8cとGmATG8iの発現が観察された.また全数摘莢区ではGmATG8cとGmATG8iは摘莢直後から8週にかけて常に発現することが示された.以上の結果は,コントロール区では4週目に一過的に強く発現誘導を示すGmATG8cとGmATG8iが葉の急速な老化と窒素栄養転流に関与していることを示唆している,
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