2010 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポートフォトコンバーター:多様な薬の生体膜透過を光に変換する新規計測技術
Project/Area Number |
21659006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 将夫 金沢大学, 薬学系, 教授 (30251440)
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Keywords | トランスポーター / 生体膜透過 / イメージング / スクリーニング / カルシウム / ATP / 蛍光顕微鏡 / 薬物動態 |
Research Abstract |
ATPを駆動力とする排出トランスポーター(ABCトランスポーター)P糖タンパク質(P-gp)の輸送機能の可視化を確立するため、本年度は内因性P-gp発現細胞の使用と細胞膜透過性Ca indicatorの導入を検討した。神経芽腫細胞株Neuro2Aを用い特異的プライマーを用いた定量PCRを行ったところ、内因性P-gpの発現が認められた。これまでの検討で用いていたミトコンドリアCa検出プローブであるpericam-mtでは、リン酸カルシウム法やリポフェクション法のような侵襲的方法による細胞への遺伝子導入を必要とするため、そのような導入を伴わないCa検出法として、細胞膜透過性Ca indicatorであるfluo-3 AMを併せて検討した。Fluo-3 AMをNeuro2Aに負荷し、細胞を洗浄後静置して細胞内Ca濃度を平衡化した後、A23187(calcium ionophore)を曝露したが、蛍光変化はほとんど観察されなかった。原因としてABCトランスポーターによるfluo-3の排出が考えられたため、ABCトランスポーター阻害剤であるprobenecidを添加したところ、定常状態の蛍光強度が大幅に改善した。この条件でA23187を曝露したところ著明な蛍光強度上昇を認め、Ca検出が可能となった。さらにこの系を用い、P-gpの基質であるverapamilを添加したところ、蛍光強度の増大が認められた。以上より、本実験系でP-gpによる薬物輸送をCaシグナルに変換し蛍光検出できる可能性が示された。前年度に確立したpericam-mtと併せ、可視化を実現する複数の実験系を確立することができた。現在、蛍光強度比の増大は評価対象とする細胞に大きく依存している。増大の観察される細胞と、されない細胞が共存するため、より定量的な解析を行うためにはさらなる実験系の改良が必要である。
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