2009 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポゾンを用いたin vivo遺伝子発現長期化による新規慢性疾患療法の開発
Project/Area Number |
21659008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (20135594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 ゆり子 京都大学, 薬学研究科, 助教 (40402797)
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Keywords | トランスポゾン / piggy Bacトランスポゾン / 遺伝子発現長期化 / ゲノムDNAへの組み込み / 哺乳類 / マウス |
Research Abstract |
実験計画初年度の本年度は、まずpiggy bacトランスポゾンのベクター作成を行った。レポータータンパク質としてfirefly luciferase遺伝子および抗生物質に対する耐性遺伝子を搭載したドナーベクターを作成した。また、ゲノムDNAへの組み込みに必要な酵素トランスポザーゼを発現するヘルパーベクターを作成した。まずヒト肝がん由来細胞に対して、両ベクターを同時にトランスフェクションし、抗生物質含有培地で培養したところ、細胞の増殖が確認された。一方、ヘルパーベクターのかわりにトランスポザーゼを発現しないコントロールベクターとドナーベクターを同時に、トランスフェクションすると細胞は増殖しなかった。従ってドナーベクターとヘルパーベクターの同時トランスフェクションにより目的遺伝子がゲノムへ組み込まれたことが示唆された。次に、血中分泌型レポーター遺伝子であるGaussia luciferase遺伝子を搭載したドナーベクターを新たに作製した。これとヘルパーベクターを同時にマウスにハイドロダイナミクス法で投与し、血中のGaussia luciferaseを経日的に観察したところ、少なくとも60日後までは持続的な発現が観察された。しかしながら、発現量の緩やかな減少力弐認められたため、プロモーターをCMVからEF1に変更したところ、発現量は減少せず60日後も一定に持続的であった。さらにマウスの肝臓から抽出したDNAのシーケンス解析によりゲノムへの組み込みの確認を行った。また、ヘルパーベクターとドナーベクターの投与量には最適な比率が存在することも明らかとなった。以上、piggy Bacトランスポゾンを用いてベクターおよび投与量を最適化することによりマウスの生体内においてゲノムDNAへ目的遺伝子の組み込みおよび遺伝子発現の持続化が可能になった。これまで哺乳類の生体内でのpiggy Bacトランスポゾンによる目的遺伝子のゲノムDNAへの挿入に関する報告は我々(Mol Ther apr. 2010. accepted)の他に1例のみである。
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