2009 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外蛍光イメージングに資する新規蛍光色素の戦略的開発
Project/Area Number |
21659012
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
前田 初男 Hyogo University of Health Sciences, 薬学部, 教授 (00229311)
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Keywords | 近赤外光 / イメージング / 蛍光色素 / プローブ / 可視化計測 / in vivo / 非侵襲分析 |
Research Abstract |
「cyaine系色素より優れた蛍光特性を示す新規近赤外(NlR)蛍光色素を,紫外可視領域に蛍光特性を有する既存の蛍光色素fluoresceinやresorufinなどの水酸基を4-hydroxystyryl基または4-aminostyryl基に置換することにより開発できる」という申請者の独創的な設計戦略を実践するため,平成21年度は,水酸基を持つ蛍光色素のモデル化合物として7-hydroxyl-4-methyl coumarin(1)を,カップリング剤として4-hydroxystyrene(2)または4-aminostyrene(3)を用いて,7-(4-hydroxystyryl)-4-methyl coumarin(4)および7-(4-aminostyryl)-4-methyl coumarin(5)の高収率かつ簡便な合成法の確立を行った.すなわち,1のtriflate体6と,2,3,それらのacetyl化体またはsulfonamide化体などとのHeck反応について詳細に最適反応条件を探索した.その結果,DMF中80℃にて酢酸パラジウムおよびトリエチルアミン存在下,2または3の2-nitrobenzenesulfonyl化体とtriflate体6のHeck反応を24時間行えば,20~30%の収率で対応する4または5の2-nitrobenzenesulfonyl化体が得られることを見出した.4の2-nitrobenzenesulfonyl化体は,DMF中DBU存在下2-mercaptoethanolで処理すれば4が定量的に得られ,5の2-nitrobenzene-sulfonyl化体は,N-methyl化反応後,同様に処理すれば,5に定量的に変換できた. 合成した4について蛍光特性を検討したところ,非常に興味深い結果を得た.4はDMSO中では,出発物質である1と同様にλex=380nmにおいてλem=450nmの蛍光(青色蛍光)を示したが,10%DMSOを含むpH7.4 HEPES緩衝溶液中では,λex=410nmにおいてλem=530nmの蛍光(黄色蛍光)を示した.つまり,1における水酸基を4-hydroxystyryl基に変換することにより,蛍光波長が80nmも長波長側にシフトすることを見出した.この結果は,申請者の立てた設計戦略の有効性を指示するだけでなく,本申請研究により優れた成果が得られることを多いに期待させる.そこで,fluoresceinおよびresorufinの水酸基を4-hydroxystyryl基に置換した候補化合物の合成を現在行うとともに,新規黄色蛍光色素(KobeYellow)として特許を取得するため4の蛍光特性についてもさらに詳細に検討している.
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