2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規小胞体膜ユビキチンリガーゼの基質探索と神経生理機能特定
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21659013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上原 孝 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (00261321)
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Keywords | 小胞体 / ユビキチン / リガーゼ / ストレス / 基質 / 細胞死 / 質量分析 / 神経細胞 |
Research Abstract |
申請者らはこれまでにヒトゲノム情報から推定上の新規な小胞体膜に存在するユビキチンリガーゼの特定を行なってきた.その生理あるいは病態生理的特徴を解明するために,基質の同定を試みた.まず,動物細胞内に当該ユビキチンリガーゼを強制発現させ,特異的抗体により免疫沈降反応を行った.免疫沈降物をSDS-PAGEで展開し,ゲルを染色した後,得られたバンドを切り出して酵素処理した.これらをMALDI TOF/MASS解析し,蛋白質を特定した.数種の候補蛋白質が単離されたが,その一つはインスリン分解酵素(IDE)であった.IDEは末梢ばかりでなく中枢神経系にも高発現している,さらには脳内ではアルツハイマー病発症に関わるAβの分解に寄与していることが明らかとなっている.そこでこのユビキチンリガーゼとIDEの関係の詳細を調べた.両者を神経細胞で強制発現させた際に結合が槻察されたが,ユビキチンリガーゼ単独で発現した際にも内在性のIDEと強く結合することから,両者の結合は非常に強いものであることがわかった.さらには,このときIDEはポリユビキチン化されることを見いだした.また,このユビキチン鎖はLys48結合であることを特異的抗体から明らかにした.今後,酵素や基質をノックダウンした際の影響,小胞体ストレス環境下における基質分解能の変化,さらには,ヒト病態におけるタンパク質量の変化を明らかにし,神経変性疾患発症との関わりについて解析する予定である.
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