2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規small RNA分子mirtronの生理的機能の解明
Project/Area Number |
21659020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水口 裕之 Osaka University, 薬学研究科, 教授 (50311387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 健二 独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤的研究部遺伝子導入制御プロジェクト, サブプロジェクトリーダー (50356234)
櫻井 文教 独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤的研究部遺伝子導入制御プロジェクト, 研究員 (70370939)
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Keywords | 分子生物学 / マイクロRNA / miRNA / mirtron |
Research Abstract |
本年度は、当初の計画に従い、まずmirtron-877および-1225をヘテロに欠損したES細胞の樹立を行った。次に、これらの細胞を用いてノックアウトマウスの作成を行い、続いて交配により各種遺伝形質マウスを得ることに成功した。いずれのmirtron欠損マウスの場合もメンデル則に従った産仔数が得られていることから、発生段階での重篤な障害は生じないことが明らかとなった。現在、成体での様々な刺激に対する血管新生能への影響を調べ、出生後における役割を検討すると共に、並行してその他の表現型についても探索を行っている。一方、mirtron-877のnull ES細胞を樹立し、in vitroにおける三胚葉分化能を検討した結果、内胚葉分化マーカーの低下が観察されたことから、発生には大きな変化はもたらさないまでも、様々な遺伝子の発現変動に関わることが示された。さらに、培養細胞を用いた各種レポーターアッセイにより、哺乳類mirtronが、実際に遺伝子抑制機能を持つ分子としてホスト遺伝子のエクソン・イントロン構造から産生されることを初めて証明した。これらの結果は、まったく新しくかつユニークな生成経路をたどるmirtronが、細胞内において機能性分子として作られ、その結果内在性の遺伝子発現変化をもたらすことを世界で初めて示したものであり、ひいては細胞分化の制御に関わる可能性を示唆する重要な知見であると言える。今後さらにさまざま角度から検討しmirtronの生理的役割の解明を行うことにより、スプライシング制御に媒介される新しい遺伝子発現制御ネットワークが明らかになることが期待される。
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