2009 Fiscal Year Annual Research Report
新たなシグナル伝達機能「細胞内糖鎖シグナル」の解明
Project/Area Number |
21659022
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
遠藤 玉夫 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都, 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (30168827)
|
Keywords | シグナル伝達 / 糖鎖 / 翻訳後修飾 / 放射線 / O-GlcNAc |
Research Abstract |
本研究では、新たなシグナル伝達経路である「細胞内糖鎖シグナル」の解明に向け、DNA損傷ストレスによる情報伝達因子の活性化とタンパク質のN-アセチルグルコサミン修飾(O-GlcNAc化)の変動を調べる。本年度は、Ataxia-telangiectasia mutated(ATM)などのDNA損傷のセンサー分子とその下流の情報伝達因子活性化における、タンパク質のO-GlcNAc化を介したメカニズムを明らかにすることにより、リン酸化修飾によるシグナル伝達と糖修飾によるシグナル伝達の相互制御のシステムについて理解することを目指し、まずATMの活性化とO-GlcNAc修飾について検討した。マウス初代培養神経細胞やHeLa細胞に5GyX線照射を行ったところ、照射30分後くらいからATMの自己リン酸化が検出され、ATMが活性化することが明らかになった。また、N-アセチルグルコサミニダーゼの阻害剤(PUGNAc)を添加してO-GlcNAc修飾タンパク質を増加させたところ、X線照射によるATMの活性化が抑制されることが示唆された。次に、ATMタンパク質がO-GlcNAc化修飾されるかどうか調べるため、抗ATM抗体を用いて免疫沈降を行った後、抗O-GlcNAc抗体によるウェスタンブロットを行った。その結果、初代培養神経細胞及びHeLa細胞共に、ATMはO-GlcNAc化されているタンパク質であることが明らかになった。DNA損傷のセンサー分子として重要な働きをしているATMが、リン酸化修飾のみならず糖修飾を受けていることが初めて明らかになった重要な知見である。次年度は、ATMのO-GlcNAc化がATMの活性化機構やリン酸化活性にどのような影響を与えるか検討する。
|