2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花岡 健二郎 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (70451854)
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Keywords | 近赤外蛍光 / インビボイメージング / 蛍光色素 |
Research Abstract |
生命現象の包括的な理解を目指す上で、生きている状態の生体内で、リアルタイムかつ高感度に様々な事象を観測することは極めて重要である。このような観測を実現する手法として、近年の生物・医学領域では、蛍光法を用いる手法が汎用され、数多くの優れた成果を挙げている。本研究では、ラットやマウスなどの動物個体内において生体分子可視化ツールとして機能し生命現象の解明や医用診断薬開発に繋がる可能性を秘めている近赤外蛍光プローブの創製を目的として、新規の近赤外蛍光色素の創製を目指す。新たな近赤外蛍光色素の開発の研究アプローチとして、「シアニン色素骨格」と他の蛍光色素骨格との「融合蛍光色素」の合成を試みた。具体的には、500から600nm付近に強い蛍光を有し生命科学研究において培養細胞や生体組織に応用されている「フルオレセイン」や「ローダミン」といった蛍光色素とシアニン色素との融合蛍光色素の合成を行った。合成した化合物群はいずれもその吸収波長は十分長く、650から900nmの「生体の光の窓」の領域に達していた。しかしながら同時に、いずれの化合物もその蛍光量子収率は非常に低く、その有機合成収率も低いことから実用性という面では満足のいくものではなかった。そこで新たな展開として、シアニン色素でも通常の左右対称型のシアニン色素骨格ではなく、左右非対称型のシアニン骨格に着目し、様々な左右非対称シアニンの合成を行った。その結果、その分子構造を分子設計することで650から900nmの様々な吸収・蛍光波長を有する蛍光色素の開発に成功した。さらに、左右非対称という分子構造からその分子構造の誘導化も容易であり、タンパク質やペプチド分子などにラベル化可能な近赤外蛍光色素の開発にも成功した。今後は、スタッキング等を用いて特定の生体分子を認識して蛍光が変化する「蛍光プローブ」へと誘導化することを目指す。
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Research Products
(23 results)