2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝特異的トランスポーターの発現変動におけるエピジェネティック制御機構の解析
Project/Area Number |
21659037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠原 洋之 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (00302612)
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Keywords | トランスポーター / 異物解毒 / 肝細胞 / エピジェネティクス / DNAメチル化 |
Research Abstract |
肝特異的有機アニオントランスポーターOatp1b2を含むOatp遺伝子は、染色体上でタンデムに並んでいるが、各分子種ごとに組織発現プロファイルが異なる。Chipアッセイの結果、発現組織からはアセチル化ヒストンが検出され、mRNAの組織分布とヒストンの修飾状態は一致していた。また、各遺伝子に対するDNAメチル化状態を検討したところ、非発現組織ではCpGサイトがメチル化されており、反対に発現組織では脱メチル化状態であることを確認した。組織分布(mRNAとヒストンのアセチル化状態)とDNAメチル化状態は一致しており、DNAメチル化による遺伝子の発現抑制を支持する結果を得た。ヒトOATP1B1遺伝子とOATP1B3遺伝子について、ヒト肝ブロックからゲノムDNAを調製し、肝臓と非発現組織である腎臓におけるDNAメチル化状態を解析した。その結果、ヒトにおいても非発現組織ではCpGサイトは高度にメチル化されていることを確認した。さらに、OATP類の転写に必要な核内受容体は発現しているものの、OATPmRNAが発現していないHepG2細胞において、種々メチルCpG結合タンパク(MBD)をsiRNAによりノックダウンしたところ、MBD2のノックダウンによりOATP遺伝子の誘導が観察され、メチル化されたCpGサイトにMBD2が結合することで遺伝子発現が抑制されていることが示唆された。初代培養肝細胞では培養に伴い急速に取り込みトランスポーターの発現量が減少することが確認された。コラーゲンでサンドイッチ培養した肝細胞では極性が維持でき、胆管側膜に発現するトランスポーターの輸送活性は維持されるものの、Oatp1b2をはじめとするシヌソイド側の取り込みトランスポーターの発現が、in vivoと比較して著しく発現が減少していることを確認した。
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