2010 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺濾胞細胞の新奇培養法を用いたサイログロブリンによる甲状腺機能制御機構の解明
Project/Area Number |
21659052
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
下仲 基之 東京理科大学, 理学部, 准教授 (30277272)
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Keywords | 甲状腺 / 上皮細胞 / サイログロリン / 極性培養 |
Research Abstract |
甲状腺組織の主要機能である甲状腺ホルモンの合成・分泌は甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含む様々な因子により統合的に制御されているが,甲状腺の濾胞構造依存的な制御機構についての研究はほとんど行われていない。本研究では,サイログロブリン(Tg)による甲状腺細胞の機能制御作用に対する詳細な機構の解明を行うため,甲状腺上皮細胞の極性培養法と小滴三次元培養法の確立を目指した。極性培養法については,マトリゲルでコートしたニトロセルロース膜を細胞支持体としたグラジエントカルチャーシステムを用い,膜の一方に血管内皮細胞,他方に甲状腺上皮細胞を播種し,甲状腺濾胞構造を模した形で灌流培養を行った。その結果,Tgは甲状腺ホルモン産生に関わるカテプシンKの上皮細胞頂端側への分泌を促進するが,TSHは逆に抑制することを見いだした。一方小滴培養法については,細胞支持担体としてアルギン酸ナトリウム,ポリアクリルアミド,アガロース,コート剤としてポリ-D-リシンを用い,最適条件を検討した。アルギン酸ナトリウムの場合,2%~4%の溶液を用いて小滴を作成して検討したところ,低濃度では細胞支持体としての強度が不足し培養途中で小滴が崩壊し,逆に高濃度では小滴の径が大きくなりすぎて小滴表面に隙間なく上皮細胞を播種することができなかった。アガロースの場合も同様な傾向が認められたが,培養が可能となるようなアガロースの種類や条件を再検討している。一方支持体としてポリアクリルアミドを用いた場合は,十分な強度と大きさをもった小滴を作成することには成功したが,細胞が小滴に十分接着せず,コンフルエントにまでは至らなかった。現在接着力を向上させるためのコート剤やコート法のさらなる検討を行っている。以上の結果をもとに,最適化した小滴培養法を用いてTgによる甲状腺機能制御機構の解明を行う予定である。
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