2009 Fiscal Year Annual Research Report
TRPA1チャネルのカフェインに対する応答の質的種間差異に基づく活性化機構の解明
Project/Area Number |
21659053
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
久保 義弘 National Institute for Physiological Sciences, 分子生理研究系, 教授 (80211887)
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Keywords | 生理学 / 神経科学 / 生体分子 / 蛋白質 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
先に、マウスとヒトのTRPA1チャネルが、カフェイン投与に対し、それぞれ活性化と抑制という真逆の応答を示すことを見いだした。TRPA1チャネルの活性化機構の解明の第一歩として、質的種間差異の構造基盤の同定を試みた。大きな領域をswapした分子キメラの解析から開始し、予想に反し、膜貫通領域やC末端細胞内領域ではなく、N末端細胞内領域が鍵を握ることを、まず明らかにした。さらに、段階を追ってより細かい分子キメラを多数作成し、応答の性質を決定する重要な部位がアミノ酸残基の230番目と254番目の間にあることを最終的に明らかにした。すなわち、マウスTRPA1のこの領域のみをヒトTRPA1のものと置き換えると、カフェインが抑制作用を示すようになることを観察した。一方、ヒトTRPA1のこの領域をマウスTRPA1のものと置き換えたキメラでは、カフェインによる活性化作用は見られなかった。また、いくつかのキメラでは、活性化と抑制の両方を含む2相性の応答を示した。このことは、抑制作用と活性化作用が同じ構造基盤に基づく単純な逆現象というわけではなく、関与する構造基盤には共通部分の他に、共通しない部分もあり、活性化にはさらなる要因があることを示唆するものと考えられた。現在、一アミノ酸残基レベルでの同定を目指して、この領域にあるマウスとヒトで異なる14個のアミノ酸残基の網羅的変異体を、二重変異体も含めて作成し、それらの機能解析を進めている。
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