2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659055
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
富永 真琴 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90260041)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 |
Research Abstract |
2007年に海馬錐体細胞でTRPV4遺伝子、蛋白質が発現し、脳温を感知して活性化して細胞膜の静止膜電位を脱分極させて神経の興奮性を制御していることを報告した(J.Neurosei.2007)ので、マウスの海馬近傍に直径500μm程度の温度プローブを挿入して、自由行動下で持続的に脳温度を測定した。マウスは、1日の内で36-39度と3度にわたる脳温度変化を示し、睡眠時に低下し、活動時に上昇した。睡眠中で脳温度の低いマウスに刺激を与えて覚醒させたところ、覚醒と同時に脳温度の上昇を観察した。脳は産熱臓器ではないために、脳温度の変化は深部体温の変化を反映しているものと考えた。睡眠時には体温が低いために脳温度も低く、覚醒して活動している時には深部体温の上昇にともなって脳温度も上昇してTRPV4を活性化させるものと考えた。睡眠時には海馬錐体細胞の膜電位を過分極側に保って神経活動を抑え、覚醒時にはTRPV4活性化による陽イオン流入から脱分極が起こり、NMDA受容体が活性化しやすい状態を作っているものと考えられた。こうした脳温度の変化から神経活動が制御されていることを示す報告は初めてである。
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