2010 Fiscal Year Annual Research Report
臍帯血VSEL細胞の分離同定と臍帯由来間葉系幹細胞との共培養による再生療法開発
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21659069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長村 登紀子 (井上 登紀子) 東京大学, 医科学研究所, 講師 (70240736)
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Keywords | 臍帯血 / 臍帯 / 組織幹細胞 / ES細胞 / CD34陽性細胞 / 間葉系幹細胞 / VSEL / 再生医療 |
Research Abstract |
臍帯血が造血幹細胞移植のソースとして確立してきたが、再生医療のソースとしてはいまだ確立されていない。本研究では臍帯血には間葉系幹細胞(MSCs)よりも未分化な細胞があるのではないかとの推察から、臍帯血中のより未分化なES様細胞の探索を行う。またこれらの細胞を臍帯由来MSCsとの共培養系にて検討することが本研究の目的である。われわれはこれまでの海外の報告からES様細胞はCD34^+細胞中存在するのではないかと考えたが、CD34^+CD45^-細胞とSSEA3^+ CD45^-の重複は殆ど認めず、CD34^+細胞とSSEA3^+細胞は別の集団であった。このSSEA3^+ CD45^-細胞は単核球分画よりもRBC大の小細胞集団に存在し、ソーティングにより形態を観察すると円形の比較的N/C比の高い芽球細胞が認められた。ただし、幹細胞部分を集めるために単核球からCD4を除去してSSEA3+細胞(0.003%)をソーティングし、OP9細胞または同一の臍帯由来MSCs上で共培養を行ったが、増殖は認めなかった。今後培養系の確立が課題とされた。一方、臍帯は豊富なMSCsを含み、原始間葉系幹細胞としても注目されており、我々は臍帯自体にもES様細胞の存在示唆する所見を得た。臍帯血にはSSEA4^+細胞は殆ど認められなかったが臍帯には逆にSSEA3^+細胞は少なく、SSEA4^+細胞が確認された。Ex plant法によるMSCs培養初期PO細胞中のSSEA4^+CD73^+細胞比率は平均±SD 41.7±23.8%、SSEA4^-CD73^+ 41.4±23.8%、SSEA4^+CD73^-1.4±0.5%であった(n=5)。CD73^+SSEA4^+率は経時的に変化し、6週まで漸増、その後減少した。我々の今回の検討ではSSEA4の発現の有無による増殖の差は認めず、今後、遺伝子発現や多分化能を含めた性状解析が課題とされた。臍帯血も臍帯は胎児由来の細胞であり、これら未分化な幹細胞の存在は組織再生機序の解明や再生医療への応用が期待できると思われた。
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Research Products
(14 results)