2009 Fiscal Year Annual Research Report
動物由来成分を排除した完全合成培地によるヒトiPS細胞樹立法の確立
Project/Area Number |
21659071
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
國貞 隆弘 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 教授 (30205108)
|
Keywords | 浮遊培養 / 動物由来成分排除 / 低タンパク / ヒトES細胞 / ヒトiPS細胞 / KSR / iPS細胞の実用化 |
Research Abstract |
iPS細胞の臨床応用を視野に入れた場合、iPS細胞樹立の全過程から可能な限り動物由来細胞・成分を排除し、未知の病原性因子に対するリスクをなくすとともに長期間安定した培養を行うことが求められる。我々は、マウスのES細胞を浮遊状態に置くことで、動物由来のタンパク質成分を培地から劇的に低減することに成功し,この成果を基にヒトES細胞およびヒトiPS細胞の浮遊培養条件の確立を目指した。本年度様々な試みの成果としてヒトES細胞の浮遊培養条件を確立した。ヒトES細胞は浮遊条件下で60日以上増殖し,60日後もALP陽性であり,接着培養にスイッチしてもES細胞特有の形態を保持し,一定の分化能力を示した。その培養条件はマウスES細胞とは異なり血清代替物(KSR)が必須であった。KSRは若干の動物由来成分を含有するが,感染リスクの低減に有効な工業製品である。マウスで決定的に重要であったPVAは必須であった。また,ACTH,デキサメタソン,アスコルビン酸などの添加物は効果が認められず(様々な濃度で添加しても浮遊培養下の増殖を促進せず,KSRの代替にもならない),アルブミンや臍帯血保存用試薬(デンプンベースの高分子)HES40,増殖因子の効果を高めるヘパリンとアルブミンの混合物などKSRの代替物を探索したがいまにところ効果的な物質は見つかっていない。従って,現時点ではマウスと同様にインシュリン,トランスフェリン,組み換え型増殖因子(LIF)以外のタンパク質を含まない条件の発見には至っていない。
|