2009 Fiscal Year Annual Research Report
移植細胞の生着率向上に向けた細胞接着剤の基礎的研究
Project/Area Number |
21659074
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田口 哲志 National Institute for Materials Science, 生体材料センター, 主幹研究員 (70354264)
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Keywords | 細胞接着剤 / スフェロイド / 架橋 / 両親媒性高分子 |
Research Abstract |
片末端にオレイル基を有し、もう片末端に活性エステル基を有するポリエチレングリコール(PEG)誘導体とエチレンジアミンとの反応によりPEG鎖の両末端に疎水性基のオレイル基が導入された細胞接着剤(Oleyl-PEG-Oleyl)を合成した。GPCおよびFT-IRにより反応が進んでいることを確認した。得られた細胞接着剤をラット膵島β細胞株RINに添加し、スフェロイド形成能を検討した。Oleyl-PEG-Oleyl添加により得られるスフェロイドのサイズは、Oleyl-PEG-Oleyl濃度の増加に伴い減少した。一方、血清培地より無血清培地の条件が低濃度でも効果が観察された。得られたスフェロイドのインスリン産生量は、Oleyl-PEG-Oleylを添加しない場合と比較して、細胞1個当たりのインスリンの分泌量が3倍以上増加した。さらに細胞接着剤添加後の細胞間接着タンパク質であるE-カドヘリンのmRNAは、細胞接着剤の濃度に依存して増加した。また、エチレンジアミンに代わり、酵素分解ペプチドを有する細胞接着剤についても合成を行い、分解性を確認した。一方、両末端にアミノ基を有するPEGにコレステロール基を導入した細胞接着剤(Chol-PEG-Chol)も合成し、リポソーム溶液に添加後のゲル形成を動的粘弾性評価により測定した。Chol-PEG-Cholをリポソーム溶液に添加すると、濃度上昇に伴いリポソームゲルが形成した。得られたゲルは、リポソームまたはChol-PEG-Cholの濃度に依存して貯蔵弾性率G'と損失弾性率G''が共に高くなる傾向が認められた。Chol-PEG-Cholの濃度が高濃度になるにつれ、単一緩和時間を持つMaxwellモデルに従う傾向があった。また、ひずみを加えたところ、このゲルは1000%の変形後も架橋構造が直ちに自己修復することが明らかとなった。
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