2009 Fiscal Year Annual Research Report
Dvlを介した微小管ダイナミクスによる細胞基質間接着制御の分子機構
Project/Area Number |
21659079
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菊池 章 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10204827)
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Keywords | Dvl / シグナル伝達 / 微小管 / 細胞基質間接着 / 細胞極性 |
Research Abstract |
細胞胞基質間接着は細胞の運動や極性決定のための重要な細胞機能である。これまで細胞基質接着斑形成にはアクチン骨格の重要性が明らかになっている。微小管も接着斑形成に関与しているが、その分子機構は不明である。私共は、微小管の安定性に関与するとされているDvlの機能を解析している際に、偶然にDvlが接着斑の重要な蛋白質であるFocal adhesion kinase(FAK)と複合体を形成することを見出した。本研究課題においては、微小管による接着斑形成制御をDvlに焦点あてて解析を行い、下記の成果を得た。 1 Dvlは運動時の細胞端や接着開始時の細胞皮質側に存在した。それらの領域には微小管(+)端が集中し、(+)端に存在するAPCとDvlが結合した。この結合には、DvlのC末端側とAPCのアルマジロリピートが重要であった。また、Dvlをノックダウンすると、微小管(+)端のダイナミクスが抑制された。 2 APCが接着斑蛋白質であるパキシリンと結合した。さらに、少なくともDvl/APC/FAK並びにDvl/APC/FAKの三量体が存在した。Wound healingアッセイにおいて、細胞先導端にDvlがAPCを介してパキシリンをリクルートした。 3 DvlまたはAPCをノックダウンすると、細胞接着能とFAKの活性化、パキシリンのリン酸化が抑制された。 4 Wnt5aはAPCとDvlの結合を促進し、細胞辺縁部へのAPCの集積を促進した。Wnt5a依存性のAPCの集積はDvlのノックダウンにより消失した。また、Wnt5a受容体であるFrizzled2はインテグリンと細胞辺縁部で隣接し、クロスリンカーの存在下に複合体を形成した。 これらの結果から、細胞辺縁部でDvlとAPCが結合して、微小管を安定化させることが、細胞の接着や運動に重要な働きをすることが明らかになった。また、Wnt5aは細胞接着に関与することが知られていたが、その作用に、Fz2/Dvl/APCを介するシグナル経路がインテグリン/FAK/パキシリンシグナル経路と協調的に働く可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)