2009 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体ゴナドトロピン産生細胞および腫瘍における可塑的機能分化
Project/Area Number |
21659090
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
長村 義之 Tokai University, 医学部, 教授 (10100992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 准教授 (70216878)
井野元 智恵 東海大学, 医学部, 助教 (20459423)
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Keywords | DNAメチル化 / 下垂体 / エピジェネティクス / LH / ゴナドトロフ |
Research Abstract |
ヒト下垂体前葉において、ゴナドトロフ細胞のほとんど(約90%)は性腺刺激ホルモンFSH及びLHを同一細胞で産生している。しかし、ヒト下垂体腺腫の場合、これらゴナドトロフ細胞由来とされる腫瘍は多く(約50%)存在するが、そのほとんどの症例がFSH産生性であり、LH産生のあるものは稀で、生理的に見られる可塑的な機能発現は見られない。このFSH優位な発現を引き起こす非可塑的分化機構について、LHβ,FSHβ遺伝子およびLH/FSH産生に関与する転写因子GATA、Egr-1、SF-1のプロモーター領域のメチル化によるエピジェネティクスな非可塑的分化機構をヒト下垂体腺腫を用いて証明を試みた。 経蝶形骨洞下垂体手術により得られた下垂体凍結組織よりゴナドトロフ細胞由来FSH産生性の症例17例(うち2例が免疫組織化学でLH陽性)を選び、Methylation-Specific PCR(MSP)法を用いて哺乳類DNAメチル化の標的となるCpG配列を含むLHプロモーター領域(-1~-500bp)について解析を行った。 結果、17例中13例(76%)で部分的あるいは高頻度なCpGメチル化が確認された。また、LH mRNAの発現と比較すると、高頻度にCPGがメチル化されていると判別されるものでは8例中6例(75%)でLHの発現が抑制され、転写因子結合部位の豊富な領域であるLH遺伝子直上(-1~-250bp)におけるメチル化が特にLH産生抑制に重要と推察される結果を得た。 以上より、ゴナドトロフ由来の下垂体線種ではLHプロモーターにおけるメチル化がLH産生を制御している可能性が示唆される。今後、症例数を増やすとともに具体的に発現と相関するCpGの位置を特定し、レポーターアッセイ等を用いてLH産生との直接的な関連性を調査していくことを検討中である。
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Research Products
(3 results)