2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659103
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
田中 亨 Jichi Medical University, 医学部, 教授 (80264406)
|
Keywords | 蛋白質 / 病理学 |
Research Abstract |
細胞表面にテストステロンと結合する蛋白複合体を単離する目的で以下の実験を行った。まず、細胞膜透過性のないFITCラベルBSA架橋testosterohe(FITC-T-BSA)をアンドロゲン反応性マウス乳癌細胞株SC-3に作用させ、ホルマリンにて架橋した後、蛋白を分画して回収し、抗FITC抗体によるウェスタンブロットにて結合蛋白の回収条件を検討した。その結果、室温で5分間刺激し、ホルマリン架橋後に細胞を分画して回収すると細胞膜画分に抗FITC抗体と交叉するバンドが検出できた。次に、抗FITC抗体で免疫沈降を行い、通常の電気泳動で展開し、銀染色を行った。抗FITC抗体、IgG陰性コントロールのいずれのサンプルでも複数のシグナルがあり、両者に明瞭な違いは検出できなかった。次に、抗FITC抗体で免疫沈降後、サシプルを65℃で2.5時間処理したホルマリン架橋を解除した群と、処理をしない群で同様に電気泳動、銀染色を行うと、架橋の解除により、より低分子にシフトする3本の有意なバンドを認めた。これらのバンドに関して、現在、2次元電気泳動による分離を試みている。 研究計画に記載した以上の蛋白精製研究と平行して、細胞表面からのシグナル伝達経路の関与を検討する目的で、シグナル経路阻害薬処理を行い、アンドロゲン応答性転写と細胞増殖経路であるFGF8 RNA量とを比較した。MAPキナーゼ、PI3キナーゼやカルシウム阻害薬では、両者に差はないが、Rac阻害薬でアシドロゲン応答性転写は維持されるが、FGF8 RNA量が著明に低下することを見いだした。細胞表面からRacにシグナルが入る可能性が考えられ、Racの上流に関しても今後検討してく予定である。 以上のように、古典的なホルモン応答性転写とは異なるシグナル伝達経路が明らかになれば、細胞増殖に限定した乳癌等の治療や増殖経路を促進しない骨や血管系薬剤などの治療応用も期待でき、本研究の重要は高い。
|