2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659120
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村松 正道 金沢大学, 医学系, 教授 (20359813)
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Keywords | ウイルス / 変異 / 自然免疫 / 肝炎 / 薬剤耐性 / インターフェロン / AID / ゲノム様性 |
Research Abstract |
これまでB型肝炎の病態をモデル化した試験管内実験系により以下の事を明らかにしてきた。1)、B型肝炎ウイルスレプリコンをヒト肝細胞株に発現させるとウイルス複製と培地中へのウイルスの分泌が起こる。これはB型肝炎ウイルス治療薬のラミブジンで複製阻害できる。2)、HBVレプリコンとAPOBEC3Gを発現させるとAPOBEC3G依存的部分的複製抑制がおこりさらにはHBVゲノムDNAに高頻度変異が導入される。高頻度変異は主にG-to-Aが最も多い。3)、2)は内在性APOBEC3Gをインターフェロンで発現誘導させてもウイルス複製抑制と高頻度変異が起こせる。そこで本年度は、まずはラミブジン耐性株(M204V)のPCRによる高感度検出方法の条件検討を行なった。また人工的にM204V変異を導入したウイルスクローンが本研究のHBV試験管内実験系でラミブジン存在下でもウイルス複製能を維持する条件検討を行なった。点突然変異を検出するのに特化したプライマーと全HBVを検出できるプラィマーのマルチプレックスPCRの条件検討したところ、野生型100に対してM204V株1の出現比率でも薬剤耐性株を検出できる系を構築できた。また野生型HBVは、50uMのラミブジン処理では複製抑制されたがM204V変異型HBVは、複製効率はラミブジンによって影響を受けなかった。これらの結果は、ウイルスの生残り戦略の指標である薬剤耐性獲得の検出系の確率と生残り戦略を発揮できる微小環境の基本的設定を実験系に組み入れる基礎ができた事を意味する意義のある結果である。H23年度は、この成果を踏まえて宿主デアミナーゼの役割をウイルス生残り戦略の観点から正していく予定であるが、制度上本萌芽研究は辞退し、最先端次世代プロジェクトで継続していく。
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