2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21659141
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西堀 正洋 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60335627)
劉 克約 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40432637)
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Keywords | 脳浮腫 / 血液脳関門 / アストログリア細胞 |
Research Abstract |
High mobility group boxl (HMGB1)はクロマチンDNA結合性の非ピストン蛋白質であり、核内における機能として、転写調節、クロマチン構造の維持、DNA修復に重要な働きをしていると考えられている。また、HMGB1は壊死細胞あるいは、ある種の活性化を受けた細胞から細胞外へ放出されることが知られている。ラットの中大脳動脈2時間閉塞・再灌流モデルを用いて、虚血後の脳浮腫と平行して生じるHMGB1の局在変化についてまず検討した。核内では特にNeuN陽性の神経細胞において2時間の虚血中から核膜直下へHMGB1が移動する像が観察された。さらに再灌流相においては時間依存的に細胞質領域に陽性構造は移行し、神経細胞の中には、細胞質中に均一に広がるパターンを示すものと、明確な顆粒状の構造を示すものが存在することがわかった。ウエスタンブロット法でHMGB1の分解について検討したが、虚血巣において著名な分解が起こるとする証拠は得られなかった。HMGB1のアミノ末端から5アミノ酸残基長ずつずらした。15アミノ酸残基長のペプチドを41本合成した。これらのペプチドの中から、HMGB1の受容体である、Receptor for advanced glycation endproduct (RAGE)と相互作用する可能性のあるペプチドを、RAGEとそのリガンド候補との試験管内結合アッセイ系での阻害活性から見出すこととした。その結果、41本のペプチドのうち、3本のペプチドに阻害あるいは、結合亢進作用があることが見出された。そこで、これら3本のペプチド(No. 1, No. 2, No. 3)を大量合成した。まず、No. 1ペプチドについて先のMCAO2時間のモデルにおいて再灌流時点で静脈内投与すると脳梗塞形成が再灌流早期から生じることが明らかとなった。この時、脳浮腫も同時に増悪していることが示唆された。一方、観血的な動脈血圧のモニタリングから、No. 1ペプチドの静脈内投与直後から血圧の低下が約1時間にわたって持続することがわかった。その作用の特異性を確認するため、No. 1ペプチドの逆向き配列のペプチドを合成し、同様の投与法で用いたところ、No. 1より作用は弱いが、同じく低血圧作用を示すことが明らかとなった。現在No. 1ペプチドの作用の特異性の確認をさらに検討している。
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