2009 Fiscal Year Annual Research Report
癌性膵液を用いたサブトラクティブ免疫法による新規単クローン抗体の作製と応用
Project/Area Number |
21659151
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中島 学 Fukuoka University, 薬学部, 教授 (50198074)
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Keywords | 癌 / 膵液 / 抗体 / 診断 / 免疫学 |
Research Abstract |
本研究は、慢性炎症性膵液を寛容原、癌性膵液を免疫原に用いたsubtractive immunization法を用いて癌性膵液に特異的なマウスモノクローナル抗体を作製し、膵癌の鑑別診断および治療に貢献することを目的としている。21年度、上記免疫方法で免疫したマウス脾細胞より抗体産生ハイブリドーマを作製し、スクリーナーブロッターを用いたウエスタンブロッティング法での検討の結果、寛容原と免疫原に対する反応性が異なる抗体を数種類得た。さらに、各膵癌および慢性膵炎患者膵液に対する反応性を解析したところ、約25%の膵癌患者膵液において特徴的な反応パターンを示した。このことから、これらの抗体を用いたウエスタンブロッティング法による患者膵液の反応パターンの解析で、膵癌および良性膵疾患の鑑別診断が可能とであることが示唆された。以上の結果は第68回日本癌学会学術総会にて発表(演題:Approaches to establish new monoclonal antibodies specific for cancerous pancreatic juice by subtractive immunization)した。さらに、樹立した抗体を用いて膵腫瘍組織切片(ductal adenocarcinoma(DC):24症例、acinar cell carcinoma(ACC):7症例、neuroendocrine tumor(NET):3症例、solid pseudopapillary tumor(SPT):5症例)に対する反応性を解析した結果、1つの抗体は正常膵腺房細胞および全てのACCに陽性であった。また、別の抗体は、正常膵管上皮および24症例のDCのうち19症例に陽性を示した。以上より、これらの抗体は、病理学的なACCとDCの鑑別診断に有用であると考えられ、第69回日本癌学会学術総会に研究協力者と共同発表予定である。
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