2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢正常血圧者に含まれるハイリスク者の同定とそのスクリーニング法についての研究
Project/Area Number |
21659162
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寳澤 篤 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (00432302)
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Keywords | 血圧 / 高齢者 / 死亡リスク / 要介護発生リスク / 低栄養 / うつ症状 / 潜在性心不全 |
Research Abstract |
若年者と比べて高齢者で、正常血圧者に対する高血圧者の循環器疾患・総死亡のリスク比が小さいことが知られている。しかし、高齢者においても降圧薬治療が生命予後を改善しうることが無作為割付対照試験で確認されており、高齢期の高血圧が無害であるというわけではなく、パラドックスが存在する。 そこで高齢一般住民正常血圧者に何らかのハイリスクな要因を持つ者が含まれているという仮説を立てた。血圧を低下させ、その後の予後を不良とする要因には潜在性心不全が考えられる。またうつ症状の関与も考えられる。 そこで平成21年度は、高齢正常血圧者に含まれるハイリスク者の同定を目的としたリスク要因の探索を行った。平成15年に実施した宮城県仙台市宮城野区鶴ヶ谷地区における高齢者総合機能評価の対象者を追跡した結果、血圧が正常で降圧薬を服用していない集団(正常血圧群)で、高血圧の群よりもむしろ総死亡・要介護発生リスクが高いことが明らかとなった。そこで正常血圧群の特性を確認した結果、死亡リスク・要介護発生リスクの高くなることが知られている、低体重・低アルブミン・低コレステロール・うつ症状を有する者の割合が高かった。 しかしながら、これらの要因を調整してもなお正常血圧群での死亡リスク・要介護発生リスクは高血圧群よりも依然として高かった。この関連には潜在性の心不全が影響を与えている可能性がある。鶴ヶ谷研究では、平成14年にも高齢者総合機能評価を実施しており、その際の血液検体が凍結保存してある。そこで、高齢者の血圧と潜在性心不全の関連を調査するために平成21年度に心不全のマーカーである血漿NT-pro BNPの測定を行い、806名分の検査が完了している。
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