2009 Fiscal Year Annual Research Report
過敏性腸症候群の生物学的マーカーと遺伝子・環境相関
Project/Area Number |
21659178
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福土 審 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (80199249)
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Keywords | 脳腸相関 / 過敏性腸症候群 / バイオマーカー / 消化管知覚 / 消化管運動 / 遺伝子 / 炎症 / ストレス |
Research Abstract |
ストレス関連疾患の代表として、過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome;IBS)がある。われわれは、IBSの国際的診断基準であるRome IIIの委員として、IBSの重要性を国内外で証明して来た。IBSは、ストレスなどの刺激によって腹痛と便通異常が発症もしくは増悪する特徴がある。IBS患者はストレスを感じやすく、内臓知覚過敏、うつ・不安症状を伴いやすい。最近の概念に基づくIBSの有病率は概ね一般人口の10-15%、1年間の罹患率は1-2%と計算される。主要文明国では、IBSが医療費に及ぼす悪影響が甚大である。さらに、IBS症状によってquality of life (QOL)は大きく障害され、その経済的損失も甚大である。以上から、IBSの根源を解明することは、ストレス関連疾患全般に応用可能な鍵を得ることに等しい。対象をRome II診断基準で診断されるIBS患者(n=52)とした。これを健常者(n=52)と比較した。これらに、RIIMQ、SIBSQ、MAPS、Abuse QuestionnaireならびにTronto Alexithymia Scale、Self-rating Depression Scale、State-trait Anxiety Inventoryを用いて症状と情動を定量化する。Rome II Modular Questionnaire(RIIMQ)日本語版ならびにSelf-reported IBS Questionnaire(SIBSQ)はわれわれが信頼性と妥当性を検証した信頼性の高い尺度である。また、アメリカで信頼性と妥当性が検証されているManagement of Abdominal Pain and Symptoms (MAPS)質問紙の翻訳・逆翻訳もわれわれが行い、信頼性と妥当性を検証してある。対象からは、静脈採血を行い、白血球を分離し、DNAを抽出した。これより、5-HTTLPR、5-HT3受容体遺伝子をはじめとする遺伝子多型を分析した。同時に、high sensitive C-reactive protein(HS-CRP)、TNF-・、TGF-・などの生物学的マーカーclusterを同時に測定した。また、糞便のサンプルから有機酸を定量化した。これらの検体数を増加させ、十分な値に達した段階で、因子間の詳細な分析を行う。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
Kanazawa M, Fukudo S
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Journal Title
Is colonic hypersensitivity really a biological marker of irritable bowel syndrome (IBS)? A role of visceral sensitivity on pathophysiology of IBS. Chapter IV. In ; Irritable Bowel Syndrome(Driggers J, Pellegrino C, edts.)(Nova Science Publishers)
Pages: 1-8
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