2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮前駆細胞と抗癌剤を用いた新しいハイブリッド癌治療法の開発
Project/Area Number |
21659193
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
伊井 正明 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10442922)
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 / ナノ材料 / 化学療法 |
Research Abstract |
PLGA抱合EPC移植後の腫瘍集積性の検討を(1)経静脈的全身投与(尾静脈経由)、(2)経静脈的全身投与(右心室経由)、(3)経動脈的全身投与(左心室経由)、(4)腫瘍周囲皮下注入投与で行った。 腫瘍内に集積したDiI-PLGA-EPCを細胞移植24時間後に組織学的に解析したところ、腫瘍への集積率順は(3)>(1)=(2)>(4)であったが、他臓器(肝臓・脾臓)への集積率順も同じく、(3)>(1)=(2)>(4)であった。 その他、前年度の実験結果からナノ粒子化したパクリタキセルがEPC抱合後、予想に反してEPCの遊走能や増殖能を上昇させる結果となり、「パクリタキセルPLGAナノ粒子抱合EPC移植後の腫瘍縮小効果の検討」を行うにあたり、EPC抱合後の抗癌剤による抗腫瘍効果についても疑問視せざるを得ない結果となった。従って、本年度では抗腫瘍効果が最も強力とされているテラルビシンを新たな薬剤として徐放化ナノ粒子を作製した。テラルビシン徐放化PLGAナノ粒子(TerPLGA)は、封入効率26%・封入率2.17μg/mg(PLGA)・平均サイズ直径890nmの物性を示すものを作製することが出来た。 PLGA単独の場合と同じように、上記物性を示すTerPLGAもEPCに包合させることが可能であった。骨肉腫腫瘍細胞(MG63)を(1)EPC単独、(2)EPC+PLGA、(3)EPC+TerPLGAとそれぞれ共培養し、14日後に細胞増殖能を確認したところ、(3)群でのみ有意な腫瘍細胞増殖抑制が確認された。 上記3群で、ヌードマウスMG63皮下腫瘍モデルを用いて腫瘍縮小効果について確認したところ、(3)>(2)=(1)の順に縮小効果が認められた。 今後、さらに摘出腫瘍組織を用いた免疫組織化学的解析及び分子生物学的解析により、EPC+TerPLGA移植による腫瘍縮小効果のメカニズムを探索していく予定である。
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