2010 Fiscal Year Annual Research Report
血漿microRNAは循環器疾患マーカーとして有用か?
Project/Area Number |
21659205
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
廣川 剛 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病態ゲノム医学部, 室長 (90450890)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 直温 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病態ゲノム医学部, 部長 (30242978)
|
Keywords | 虚血性心疾患 / バイオマーカー / マイクロRNA / 血漿RNA |
Research Abstract |
本研究は、血漿中で検出可能なマイクロRNA(miRNA)が、心筋梗塞等の循環器関連疾患のバイオマーカーとして有用か検討することを目的として実施した。前年度(計画初年度)は、ラットの心筋組織特異的に発現しているmiRNAの同定を行い、miR-208aの特異性が非常に高くバイオマーカーとして有望である結果を得た。さらにラット心筋障害モデルを用いた検討を行い、障害3時間後から血漿中におけるmiR-208aの増加を認め、これが心筋梗塞のバイオマーカーとして有用である可能性のある結果を得た(以上Ji et al.,2009)。 この結果に基づき、計画最終年度(2年目)である平成22年度は、実際にヒト虚血性心疾患の患者血漿における心筋由来miRNAの測定を実施した。はじめにアレイを用いてヒト各組織における約600種類のmiRNAの網羅的発現解析を行ったところ、ラット心筋組織では特異性の高かったmiR-208がヒト心筋ではほとんど発現しておらず、一方miR-499がヒト心筋特異的に発現しているという結果を得た。次に、急性心筋梗塞患者9例、不安定狭心症患者5例、心不全患者15例、および健常人10名より得た血漿RNAを用いてmiR-499の測定を行った。その結果、血漿miR-499は、不安定狭心症患者・心不全患者ならびに健常人の血漿中ではqRT-PCRで検出感度以下であったが、急性心不全患者全9例の血漿中では検出感度レベル(3~6 log copy/100μl plasma、平均4.19 log copy/100μl plasma)まで増加している結果を得た。また、治療後退院前に同患者9例の血漿miR-499レベルを再度測定し、検出感度以下のレベルに減少している事も併せて確認した(以上Adachi et al.,2010)。以上より、心筋由来血漿miRNAは虚血性心疾患等のバイオマーカーとして有用である可能性がある結果が得られた。
|
Research Products
(2 results)