Research Abstract |
肺・気管支は内胚葉由来の呼吸器系臓器であり,体内外のガス交換を司るという特性上,気管から肺胞に至る気道,肺胞,そしてそれを取り巻く肺動静脈系と,解剖学的に複雑な組織形態をとっている。そのため,再生医学の対象になりづらい臓器の一つに挙げられているが,肺気腫を始めとする炎症性肺疾患の多くは,細気管支より末梢の気道域に不可逆的な組織破壊を伴っており,このような疾病に対する細気管支・肺胞の組織再構築は,目指すべき根源的な治療法と考えられている。そこで当該研究課題では,治療を受ける疾病者本人の体細胞から作製可能という誘導多能性幹細胞(iPS細胞)の利点を生かして,iPS細胞を細気管支・肺胞の組織再構築に活用していこうという将来目標を掲げ,その基盤的技術の開発を行うものである。 今年度は,iPS細胞から,CCSPとSPCが共に陽性の気管支肺胞上皮幹細胞への分化系を樹立するために,同じ幹細胞である間葉系幹細胞を用いて,その分化能や増殖能をまず検討した。さらには,当該研究の基盤的技術として,マウスの肺において気管支肺胞上皮幹細胞を同定する手法を確立した。具体的には,抗CCSP抗体と坑SPC抗体を用いた免疫組織染色により,マウス肺の終末細気管支に二重陽性となる気管支肺胞上皮幹細胞を同定することができた。
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