2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞蛋白症の新たな病態:転写因子T-betによるGM-CSF非依存性の発症機構
Project/Area Number |
21659208
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森島 祐子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10375511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 幸雄 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (80272194)
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Keywords | 続発性肺胞蛋白症 / T-bet |
Research Abstract |
本年度研究ではT-bet過剰産生マウスを作成しフェノタイプ解析を行った。T-bet過剰産生マウスの肺組織では野生型マウスに比べ約20倍、肺胞マクロファージでは約4倍のT-bet発現を認めた。T-bet過剰産生マウスは出生時野生型マウスと比べ明らかなフェノタイプの違いを認めなかったが、20週齢以降の肺組織で肺胞領域にPAS陽性の滲出物を認めた。同滲出物はSP-B抗体陽性で、気管支肺胞洗浄液もコメのとぎ汁用外観を示し肺胞蛋白症に類似した変化であった。更に骨髄では血球を貪食した異常なマクロファージが見られ、血球貪食症候群の像を呈していた。T-bet過剰産生マウスは30週齢程度より死亡が始まり、50週齢までに約90%が死亡した。同マウスの肺胞マクロファージは野生型マウスに比べ貪食能が低下しており、細胞質内にサーファクタントの顕著な貯留を認めた。肺組織中のTh1/Th2サイトカイン解析ではILFN-γ、TNF-αの発現増加と、IL-4,IL-5,IL-13の発現低下を認め、強いTh1偏移を呈していた。肺内GM-CSF濃度は野生型マウスより高値であり、マクロファージにおけるGM-CSF受容体の発現、PU.1の発現も野生型マウスと同様であった。以上よりT-bet過剰産生マウスは生後20週頃より徐々に進行する肺胞蛋白症を認めた。同マウスではヒトの特発性肺胞蛋白症で見られるようなGM-CSF低下やマクロファージの成熟障害は見られず、骨髄の異常を伴うことより続発性肺胞蛋白症のモデルになるものと期待される。
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