2010 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症患者胸腺における免疫系の恒常性維持の解析
Project/Area Number |
21659223
|
Research Institution | Nagasaki Kawatana Medical Center |
Principal Investigator |
中根 俊成 独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター, 臨床研究部, 部長 (70398022)
|
Keywords | 重症筋無力症 / 胸腺腫 / 胸腺過形成 / 制御性T細胞 / FoxP3 |
Research Abstract |
これまでにすでに胸腺組織サンプルは入手しており,冷凍保存している.それらの内訳は ● MG患者で胸腺摘出術を施行された症例:組織型としては胸腺腫,胸腺過形成,正常胸腺に分類. ● 非MG胸腺腫 ● 正常対照胸腺:胸部外科手術(心臓血管外科を含む)の際に得られる胸腺を正常対照胸腺とする. に分けられている.今後,新たな症例も存在することが予測され,症例数の蓄積と組織サンプル数の増加を図る. 本研究計画はこれらをもとに下記の免疫組織染色,分子生物学的手法によってFoxP3,RORγtとIL-17の発現解析を行う. 1) 組織染色:上記に示した胸腺組織にてCD4,CD8染色に加え,FoxP3,RORγt, IL-17のいずれかを加えた三重染色を行い,共焦点レーザー顕微鏡で局在,発現について確認する.これらはすでに開始しており,FoxP3,IL-17については免疫組織化学に関する実験の基本条件設定はほぼ完了した.発現に関してはImage Jによる面積測定および発現量のカウントにより定量化する. 2) 生物学的手法:胸腺組織より分離したthymocyteよりRNAを抽出する.標的遺伝子はFoxP3,RORγt, IL-17であり,これらについてリアルタイム定量的RT-PCRを行い,発現の程度を確認する. すでに上記実験方法1)および2)については実験方法の確立を昨年度で終了した. そしてFoxP3を主とする制御性T細胞に関しては検討をほぼ終了した.そしてその研究成果はNeurology誌に報告したとおりである.今年度は同様の手法を用いてRORγtとIL-17についての解析を行う予定である.この両者と制御性T細胞は互いに免疫学的均衡をコントロールするペアであり,免疫恒常性を考慮する上で重要である.また今年度はB細胞の働きにも着手して予備実験を行う予定である.
|