2011 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症患者胸腺における免疫系の恒常性維持の解析
Project/Area Number |
21659223
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター |
Principal Investigator |
中根 俊成 独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター, 臨床研究部, 部長 (70398022)
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Keywords | 重症筋無力症 / 胸腺 / 制御性T細胞 / IL-17 |
Research Abstract |
胸腺組織サンプルは入手し,冷凍保存する.それらの内訳は ● MG患者で胸腺摘出術を施行された症例:組織型としては胸腺腫,胸腺過形成,正常胸線に分類. ● 非MG胸腺腫 ● 正常対照胸線:胸部外科手術(心臓血管外科を含む)の際に得られる胸線を正常対照胸線とする. に分けられている.施行された胸腺摘出術によって得られた胸腺組織を用いる. 本研究計画はこれらをもとに下記の免疫組織染色,分子生物学的手法によってFoxP3,RORγtとIL-17の発現解析を行う. 1)組織染色:上記に示した胸腺組織にてCD4,CD8染色に加え,FoxP3,RoRγt,IL-17のいずれかを加えた三重染色を行い,共焦点レーザー顕微鏡で局在,発現について確認する.発現に関してはImage Jによる面積測定および発現量のカウントにより定量化する. 2)生物学的手法:胸腺組織より分離したthymocyteよりRNAを抽出する.標的遺伝子はFoxP3,RORγt,IL-17であり,これらについてリアルタイム定量的RT-PCRを行い,発現の程度を確認する. Foxp3の局在については胸腺中における発現はMG群と非MG群では有意な差はなく,当初予想されたようなMG患者胸腺におけるFoxp3発現の減少は認められなかった.また末梢血リンパ球においても制御性T細胞に関する解析を行ったが,両群間ではその数の差を認めなかった.そしてその研究成果はNeurology誌に報告したとおりである.同様の手法を用いてRORγtとIL-17についての解析を行う予定であった.この両者と制御性T細胞は互いに免疫学的均衡をコントロールするペアであり,免疫恒常性を考慮する上で重要である.本症発症の一因として,疾患増悪の一因として免疫恒常性の均衡が崩れていることが推察されることから,細胞性免疫・液性免疫に関する検討も予定していたが,今回の期間内の成果を得ることはできなかった.
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