2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓での生理的小胞体ストレス調節とその破綻によるインスリン抵抗性惹起機構の解明
Project/Area Number |
21659227
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植木 浩二郎 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 准教授 (00396714)
|
Keywords | メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
本研究では、肝臓におけるERストレスの生理的意義とその調節機構、またその破綻のメカニズムの解明を試みた。 (1)野生型C57/BL6Jマウスにおいて、絶食状態と再摂食後も肝臓におけるSdf2l1や各種ERストレスマーカーの遺伝子及び蛋白の発現変化を、経時的に解析した。食事によって、ERストレスが惹起されていることが明らかとなった。 (2)一方、肥満糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスでは。肝臓における食事によるERストレス調節が破綻していた。週齢を追って観察すると、糖尿病発症以前から肝臓におけるSdf2l1の発現が低下していることが判明し、Sdf2l1が食事誘導性のERストレス調節因子であり、その低下によってERストレスの亢進やそれによるインスリン抵抗性が惹起される可能性が示唆された。 (3)実際、アデノウイルスにより野生型およびdb/dbマウスの肝臓にSdf2l1の過剰発現させる、耐糖能・インスリン抵抗性・肝臓でのインスリンシグナルが改善していた。この際、食事誘導性のERストレスは軽減していた。 (4)逆に、野生型マウスにおいてSdf2l1のshRNAをコードするアデノウイルスにより発現を抑制すると、耐糖能が悪化し、インスリン感受性および肝臓でのインスリンシグナルの低下が生じていた。 (5)Sdf2l1のプロモーターをクローニングし、その機能解析を行った。食事誘導性にATF6により発現が調節されていることが明らかになった。 以上より、食事によりBRストレスが惹起されるが、通常はSdf2l1の誘導などを介して収束するが、肥満状態ではSdf2l1の発現低下によりERストレスが遷延し、インスリン抵抗性惹起の一因になっていることが示唆された。
|
Research Products
(8 results)