2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・バイオロジーを用いたプロピオン酸血症治療への挑戦
Project/Area Number |
21659251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 徹 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (30396270)
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Keywords | 遺伝子 / ナノバイオ / 疾患モデル |
Research Abstract |
小児の先天性代謝疾患で頻度が高いプロピオン酸血症(PA)は、Propionyl-CoA calboxylase (PCC)が欠損もしくは機能が低下する劣性遺伝病である。特定のアミノ酸・脂肪酸の代謝不全により中間代謝産物が蓄積するため、出生後ミルク摂取によりケトアシドーシスを呈し最悪の場合死に至る。PAの治療法は栄養制限療法が主であるが、低栄養による様々な副作用の併発などにより予後は必ずしも良くない。肝移植が一定の効果をあげているとはいえ、長期的予後の判定は今後の課題であり、患者にとっての侵襲は小さくない。私たちは、以前、新たな根治的治療法の開発としてPCCa鎖(PCCA)遺伝子をノックアウトすることにより、PAモデルマウスを確立した。さらに、このマウスの肝臓に正常の15%の酵素活性を戻すだけで症状が著しく改善することを証明した。この成果をもとに本申請研究では、非ウイルス性のナノ・ミセルを用い、患者胎児の肝臓にPCC遺伝子をデリバリーする胎児治療法を提案し、その効果と安全性についてモデルマウスを用いて実証を試みた。 1.ナノ・ミセル型遺伝子ベクターの作製・最適化 東京大学工学系研究科・片岡一則教授の協力のもと、まずは予備実験としてGFP遺伝子発現プラスミドDNAをポリエチレングリコールの外殻で被ったナノ・ミセルベクターの最適化を行った。 2.GFP発現ベクターを用いた胎仔肝臓での発現に関する予備実験 次に、妊娠メスマウスを麻酔下で腹側より子宮を露出し子宮壁を一部切開し、羊膜上血管からGFP発現ベクターDNAを封入したナノ・ミセルベクター溶液を注入した。注入後、経時的に肝臓を摘出し、組織標本を作製・観察したところ、導入したGFP遺伝子は注入後1日で発現が確認され、2週間以上持続した。 本研究により、ナノ・ミセルベクターによる胎仔肝臓への遺伝子デリバリーとその遺伝子発現がマウスにおいて可能になった。今後は実際にPCC遺伝子をノックアウトマウスへ導入し、PA治療への効果を検証したい。
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Research Products
(1 results)