2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗体・糖鎖連結光増感薬を用いた新たな光化学療法の開発
Project/Area Number |
21659269
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
森田 明理 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30264732)
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Keywords | 可視光線 / 活性酸素 / 紫外線 / 光増感薬 / フラーレン / クロリン |
Research Abstract |
昨年度に続き、光化学療法・光線力学療法のための光増感薬を開発することを目標として研究を進めた。グルコースが正常細胞よりがん細胞に数倍多く取り込まれるという性質に着目して、グルコースを光感受性物質であるクロリンに付加したH_2TFPC-SGlcを使用し、光増感効果、およびメカニズムを解析した。H_2TFPC-SGlcはがんの種類による特異性はあまりなく(IC_<50>:0.2-0.8μM)、がん細胞に対しても正常細胞(IC_<50>:0.4μM)に対しても同程度の光増感効果をもつことが判明した。H_2TFPC(IC_<50>:1.0-2.8μM)の約3倍高い、NPe6(IC_<50>:11-18μM)の30-50倍高い光増感効果が確認できた。H_2TFPC-SGlcは、H_2TFPCやNPe6よりも細胞への取り込み量、アポトーシス誘導能が共に多いことが明らかになった。また、H_2TFPC-SGlcを投与した細胞に、一重項酸素阻害剤であるアジ化ナトリウムを光照射時に加えたところ細胞生存率が高くなり、逆に一重項酸素の半減期を延長する重水(D_2O)を加えた場合は細胞生存率が低くなった。これより、H_2TFPC-SGlcの光増感作用は、一重項酸素を発生してアポトーシスを誘導していると考えられた。ヒトメラノーマCOLO679を皮下注射したヌードマウスに、H_2TFPC-SGlcを10^<-8>mol、または10^<-9>molでそれぞれ腫瘍に直接投与した。投与4時間後に光照射し、その後の腫瘍の成長を観察した。Controlと比較して、H_2TFPC-SGlc 1O^<-8>molの場合は、PDTから連続して8日間有意差が得られ、10^<-9>mol(n=4)の場合はPDT 12日後位まで有意差が得られた。このように、H_2TFPC-SGlcはH_2TFPCやNPe6に比べ非常に高い光増感効果をもつことが判明した。また、in vivoにおいても、H_2TFPC-SGlcのPDTによりメラノーマの成長を約12日間抑えられたことが確かめられ、光線力学治療薬としての機能を十分に備えていることが判明した。
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[Presentation] Synthesis and Photodynamic Activities of Sugar Linked In Porphyrin As a Dual Drug of Diagnostic Imaging and Photodynamic therapy2010
Author(s)
Nakai, Misaki, Maeda, Tomohiro, Yano, Shigenobu, Sakuma, Shiho, Otake, Eiko, Morita, Akimichi, Nakabayasi, Yasuo
Organizer
2010 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (PACIFICHEM 2010)
Place of Presentation
USA(ハワイコンベンションセンターおよび周辺ホテル)
Year and Date
20101215-20101220
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