2009 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞・間葉系幹細胞からの色素細胞と悪性黒色腫の作成と発現分子の臨床応用
Project/Area Number |
21659270
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河上 裕 Keio University, 医学部, 教授 (50161287)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 信夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20407117)
大多 茂樹 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20365406)
|
Keywords | 皮膚科学 / iPS / メラノサイト / 悪性黒色腫 |
Research Abstract |
本研究では、ごく最近技術的に可能になったiPSやMSC分離技術や、最近蓄積されてきたヒト色素細胞および悪性黒色腫形成に関する分子機構の知識を駆使して、in vitroでの幹細胞からの色素細胞(色素幹細胞)および悪性黒色腫細胞作製を目指している。最初にiPS細胞より色素細胞が誘導できるかを検証することにし、研究材料となるヒトiPS細胞を独自に樹立することを試みた。ヒト皮膚細胞にiPS化に必要な4因子(Sox2,Oct3/4,KLF4,MYC)およびMYCを除く3因子を導入して、iPS細胞株をそれぞれ樹立した。さらに、in vitroにおいて各iPS細胞株を分化させて、三胚葉系の細胞にそれぞれ分化することを確認した。これらのiPS細胞株を色素細胞に誘導するために、胚葉体を形成させたのち、Wnnt3,SCF,ET3といった色素細胞分化誘導剤を含む分化誘導培地中で継体培養を行った。その結果分化誘導後2月で、色素顆粒を含む色素細胞への分化が確認できた。これらの細胞は、SILV,TYRP,TYR,S100といった代表的な色素細胞マーカーを発現していた。In vitroにおける細胞分化の細胞系譜を解析するために、分化誘導後1週間の細胞を解析したところ、神経堤細胞のマーカーであるp75の発現を見出した。このことは、in vitroにおける細胞分化系譜がin vivoにおける分化系譜に近似していることを示している。現在、確立した系を利用して悪性黒色腫細胞への形質転換を試みている。
|