2009 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の病態発生機序と活性型ミクログリアの関連に関するPETを用いた研究
Project/Area Number |
21659272
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関根 吉統 Chiba University, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (70324358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 謙二 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
伊豫 雅臣 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50191903)
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Keywords | 精神薬理学 / うつ病 / 活性型ミクログリア / PET |
Research Abstract |
近年、うつ病罹患者の脳内では活性型ミクログリアが増加しており、それがうつ病の病態発生機序に関連している、との仮説が提唱されている。本申請研究では、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)を用いることにより活性型ミクログリアのうつ病への関与を明らかにし、うつ病に対する新たな治療法の開発に寄与することを目標とする。申請研究期間2年のうち1年目の本年度は、健常者3名、未治療初発うつ病者1名、計4名のPET撮像を終えた。トレーサーには活性型ミクログリアに特異的に結合するPK(R)-11195を用い、トレーサー静注後の撮像時間は60分に設定した。それぞれの被験者から得られた時間-放射能曲線に基づき、解析方法には変法スペクトラルアナリシス法を採用した。活性型ミクログリアの密度を算出した。その結果、健常者と比較し、うつ病者では脳内の広範囲にわたり活性型ミクログリアが増大していた。現在のところ、うつ病者のPET撮像が1例であるため、結論には至らないが、うつ病者では、近年の仮説通り、活性型ミクログリアが増大している可能性が推測された。うつ病者の脳内で活性型ミクログリアが増大していることが明らかとなれば、うつ病の治療にミノサイクリンといった抗炎症剤の選択肢が一つ増え、世界のうつ病治療戦略に大きな影響を与えることが期待される。また、うつ病の新しい治療薬の開発・治癒率の向上に大きく貢献すると確信する。
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