2009 Fiscal Year Annual Research Report
高速シーケンスによる一卵性双生児双極性障害不一致例における遺伝子変異の探索
Project/Area Number |
21659277
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 忠史 The Institute of Physical and Chemical Research, 精神疾患動態研究チーム, チームリーダー (30214381)
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Keywords | 双極性障害 / 次世代シーケンサー / ゲノム解析 |
Research Abstract |
双極性障害(躁うつ病)は、遺伝子を基盤として発症する疾患であるが、その原因は未だ明らかではない。これまで連鎖解析、候補遺伝子の関連解析、および全ゲノム関連解析により、さまざまな所見が報告されてきたが、未だ明確な原因遺伝子あるいは遺伝的危険因子が同定されたとは言い難い状況にある。双極性障害の原因遺伝子を探るためには、これまでの遺伝性疾患とは異なったアプローチによる研究が必要である。そこで本研究では、一卵性双生児不一致例におけるゲノム差異を調べることにより、双極性障害の原因遺伝子変異を探索した。 書面にて説明の上同意が得られた一卵性双生児双極性障害不一致例1ペアの培養リンパ芽球由来DNA20μgを用いて、NimbleGenエクソンキャプチャーアレイにより、全エクソンに対応するDNA領域を濃縮した。その結果、157~178倍の濃縮が得られた。このサンプルを用いて、次世代シーケンサー、Roche 454を用いて、Titanium試薬により、1サンプルにつき1ランのシーケンス解析を行った。マップされたリードは92.3%であり、平均カバレージは4.2×であった。標準配列と異なるSNPは46646あり、このうち、2名ともでカバレージが4×以上のSNPは15167であった。健常者では全リードが標準配列であるのに対し、双極性障害患者で30%以上変異を示したSNPが173個あった。この中には、近傍に連続して所見が見られる部分が数カ所あり、染色体異常を反映している可能性も考えられた。今後、リード数を増やして、解読可能な部分を増やすと共に、これらの結果をPCR-ダイレクトシーケンスによる確認を行う予定である。
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