2009 Fiscal Year Annual Research Report
融合画像診断を目指したマルチモーダル分子イメージングプローブの開発
Project/Area Number |
21659288
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 正博 Kyoto University, 薬学研究科, 准教授 (80336180)
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Keywords | マルチモーダル / PET / SPECT / 光 / 画像診断 |
Research Abstract |
【目的】アルツハイマー病(AD)の特徴的脳内病理的変化として、老人斑の沈着が知られている。アミロイドβ蛋白(Aβ)を主な構成成分とする老人斑アミロイドの沈着は、AD発症過程の最初期より始まることから、Aβの生体イメージングはADの早期診断に有効であると考えられる。これまでに、老人斑の蛍光染色試薬であるコンゴーレッドやチオフラビンTから派生した多数のPET/SPECT用放射性プローブが開発されてきた。一方、Aβを標的にしたインビボ蛍光イメージングプローブの報告数はわずかであり、脳移行性や蛍光特性の問題などから実用化されたプローブはない。本研究では、アルツハイマー病脳内Aβのインビボイメージングを目的とした新規蛍光プローブの開発を目的として、BODIPYを母核とする誘導体を設計・合成し、Aβイメージングプローブとしての必要な基本的性質について評価した。 【方法】BODIPYを母核とする数種類の誘導体を合成した。これらのBODIPY誘導体について、アミロイド前駆タンパク質を過剰産生するトランスジェニックマウス(Tg2576)の脳組織切片を用いた蛍光染色実験により、マウス脳アミロイド斑への結合親和性を検討した。同時に、隣接脳切片を用いて、アミロイド斑の蛍光染色試薬チオフラビンSによる蛍光染色を行い、BODIPY誘導体による染色像がアミロイド斑の存在部位と一致することを確認した。 【結果・考察】BODIPY誘導体は常法により、総収率5.7~26.1%で合成した。Tg2576マウス脳切片を用いて蛍光染色実験を行ったところ、5'-[4-(dimethylamino)phenyl]-2,2'-bithiopheneを導入したBODIPY誘導体には、マウス脳切片上に化合物由来の蛍光像が確認された(図)。この蛍光像は、チオフラビンSを用いた蛍光染色による染色部位と一致したことから、本BODIPY誘導体が、マウス脳に沈着したアミロイド斑への結合性を有することが示された。今後生体イメージングへの応用を目指した置換基の最適化を行う必要はあるが、本検討結果より,BODIPYがAβの蛍光イメージングのための母核となる可能性が示された。
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