2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659293
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
晴山 雅人 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10173098)
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Keywords | 放射線増感剤 / 放射線感受性 / 放射線治療 |
Research Abstract |
1.コロニーアッセイ法によるギメラシルの放射線増感効果 DLD-1、HeLaを用いた実験で、1.0mMのギメラシルを48時間添加後に照射すると、コントロール群と比較してギメラシル添加群の生存率は有意に減少した。 DLD1は変異p53を持ち、HeLaは、p53の機能が低下している細胞である。そこで、p53の状態で、ギメラシルの放射線増感効果の程度に差がみられないか検討した。そこで、ヒト肺非小細胞癌細胞H1299で、野生型p53を導入したH1299wt、p53が欠損したH1299neo、変異型p53を導入したH1299m143、H1299m175、H1299m248の5種の細胞を用い、ギメラシルの放射線増感効果をclonogenic assayで検討した。結果は、ギメラシルの放射線増感率は、各細胞間で、同程度であった。また、ヒト大腸癌細胞HCT-116の野生型p53を持ったHCT-116 p53+/+とp53が欠損したHCT-116 p53-/-で、ギメラシルの放射線増感効果を同様に検討したが、ギメラシルの放射線増感率は、各細胞間で、同程度であった。 以上より、ギメラシルの放射線増感効果は、細胞のp53statusに影響されない可能性が示唆された。 2.多分割照射におけるギメラシルの放射線増感効果 DLD1細胞(ヒト大腸癌細胞)を用いて、clonogenic assayで、多分割照射におけるギメラシルの放射線増感効果を検討したが、放射線増感の程度は、分割数が増えるほど、大きくなった。 これまでの我々の実験結果より、ギメラシルの放射線増感効果の分子メカニズムとしては、DNA2本鎖切断の相同組換え修復の阻害によると考えられる。ギメラシルが相同組替え修復を阻害するならば、体内の正常組織の細胞は大部分がG0/G1期のため非相同末端結合で修復されるため、ギメラシルで放射線増感されない。癌組織は、悪性度が高いほど分裂を繰り返している細胞が多い。これらの細胞は、相同末端組替え修復と非相同末端結合で修復されるため、ギメラシルで増感される。よって、ギメラシルは、癌組織を選択的に増感し治療可能比を向上させることが期待される。
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Research Products
(1 results)