2010 Fiscal Year Annual Research Report
消化器外科領域における自己生体素材を用いた再生医療の開発
Project/Area Number |
21659301
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 秀和 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10528508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 正孝 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80335356)
竹政 伊知朗 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50379252)
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Keywords | 自己生体材料 / 消化器外科領域 / 脂肪由来幹細胞 |
Research Abstract |
成体由来の幹細胞のうち脂肪由来幹細胞(Adipose Derived Stem Cells;ADSC)は比較的採取が容易で魅力的である。近年では多分化能、血管新生効果などが報告され、すでに肝・腎などの再生、心筋梗塞の治療、形成外科領域などで応用されているが、消化器外科手術領域ではまだ報告がない。消化器外科手術領域における感染性合併症には、死腔が原因と考えられるものは少なからず存在し、死腔が原因であるがゆえに治療に難渋する症例も多い、今回、腹腔内の死腔をマウスモデルで作成し、脂肪による充填を行い、組織構築における脂肪由来幹細胞の効果を検討した。C57BL/6Jマウスのソケイ部の反下脂肪を摘出しコラゲナーゼによる処理にてADSCを採取し、10日間培養した。フローサイトメトリーにて血管固有のマーカーであるCD31の発現を確認した。10週齢のオスのC57BL/6Jマウスに対し、精巣周囲の脂肪組織を摘出し、死腔モデルとした。摘出した脂肪片を死腔に充填し、PBSに浮遊させた1×10^6個のADSCを腹腔内投与する群(ADSC群)と、PBSのみ腹腔内投与する群(PBS群)を比較検討した。移植後3,7,14,21日目にマウスを犠死させ,下記の検討を行った。(1)移植片生着重量,(2)H&E染色による充填組織像,(3)CD31による免疫染色による血管密度評価,(4)摘出組織より抽出したtotal RNAの定量PCRによる血管新生因子VEGF。フローサイトメトリーにおいて、脂肪由来幹細胞にCD31陽性細胞が約7%に存在した。充填物重量は3、7日目では両群間に有意差を認めなかったか、14,21日目ではADSC群において有意に死填物重量が大きかった。またH&E染色においてPBS 群は出血梗塞単を多数認めた。CD31抗体を用いた免疫組織染色において、400倍視野におけるCD31陽性細胞数を計測すると、3,7,14日目においてADSC群か有意に多かった。移植片より抽出したtotal RNAを用いたPCRでは血管新生因子であるVEGFは3、7日目において、ADSC群において有意に多かった。以上より腹腔囚における遊離脂肪片生着に対してADSCの共移植は有効な手段であると考えられた。
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