2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞と幹細胞より構成される可移植性自己再生型肝組織の開発
Project/Area Number |
21659307
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
兼松 隆之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40128004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 晋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80404218)
蒲原 行雄 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 外科治療研究室, 室長 (50325643)
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Keywords | 可移植性組織片 / 自己再生型 / 細胞シート |
Research Abstract |
研究実績概要 末期的肝疾患の治療としての肝移植は深刻な提供者不足にあり、生体提供者に大部分が依存している。この解決のため細胞を用いた再生医療が研究されている現状にある。 肝再生医療においては細胞マーカーを用いた幹細胞の分離・同定や、in vitroでの肝様組織の構築が報告されてきたが、生体内でこれらの結果が得られるかは未だ不明な点が多い。臓器不全は、再生の観点からは組織・生体内の幹細胞領域に端を発する修復・再生機構が破綻しているために生じるのであり、ここに幹細胞を外因的に動員しても機能するかどうかは疑問であるためである。近年確立しつつある初代細胞によるin vitro組織構築技術に幹細胞を加えることで肝機能補助と幹細胞による組織修復効果を生かし、移植可能組織を作製しその機能を検証することを目的に研究を行った。肝細胞をシート化するとともに線維芽細胞もシート化し内部に幹細胞様細胞が存在することを確認した。またこれら2種の細胞をシート化し重層することで組織片作成の可能性が確認された。線維芽細胞シートの効果は培養上清による細胞増殖効果が確認されマトリックスや増殖因子の産生を確認し、肝切離面に対しては創面の治癒を促進するのみならず貼付面に肝細胞以外の細胞の出現や肝組織形成が促進されることから障害臓器に対して再生を誘導することが確認された。これらの結果から肝細胞以外の細胞から構成されるシート単独でも使用可能であり可移植性のある組織片の確立に大きく寄与する成果となった。肝細胞は組織重合は可能であったが組織内に組み込むことに関しては本研究期間内では条件設定の検討に留まった。
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