2009 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いた制御性樹状細胞への分化誘導および免疫細胞療法の開発に関する研究
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21659310
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梨井 康 National Research Institute for Child Health and Development, 移植・外科研究部, 室長 (60321890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑山 直之 国立成育医療センター(研究所), 移植・外科研究部, 共同研究員 (80534792)
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Keywords | 移植・再生医療 / 遺伝子 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本年度は、マウスiPS細胞(MEF-Ng-20D-17)を理研細胞バンクより入手し、まずiPS細胞の幹細胞の性質を確認するため、心筋細胞、脂肪細胞、骨芽細胞等への分化誘導を行い、これら細胞への分化誘導を確認した。また、ヌードマウスの皮下にiPS細胞を移植し、奇形種の形成を確認した。さらに、ICRマウスの受精卵への移植を行ったところ、iPS細胞由来のキメラ個体が生まれる事も確認できた。つぎ、制御性樹状細胞への分化誘導法確立のため、マウスiPS細胞から樹状細胞(iPS-DC)への分化誘導方法の確立を試みた。マウスiPS細胞をフィーダー細胞であるOP9細胞と共培養し、血球系細胞(iPS-DC前駆細胞)へ分化誘導した後、GM-CSFを添加して未成熟なiPS-DCへ分化させた。さらに、IL-4、TNF-α、LPSを添加することにより、その成熟化の誘導を試みた。一方、マウス骨髄由来のDC(BM-DC)の培養も同時に行い、上記方法により得られたiPS-DCとBM-DCの細胞形態の観察、FACSによる細胞表面分子発現の確認を行った。その結果、iPS-DCでは、抗原提示分子であるIaおよびCD80、CD11cの発現が確認されたが、BM-DCよりやや弱かった。しかし、細胞形態学の観察では、iPS-DCとBM-DC間の差が見られなかった。さらに、サイトカイン、抗体等の添加により、iPS-DCはBM-DCと同様DCの成熟も誘導された。これらの結果より、iPS細胞を用いたiPS-DCへの分化誘導が可能となった。今後、上記培養系でのiPSよりDCの大量の分化誘導系の確立、iPS-DCの機能確認等で研究を進めたい。また、レンチウィルスベクターに制御性DCを誘導するための遺伝子を構築し、iPS-DCへの遺伝子導入を行い、制御性DCの分化誘導及びその機能解析を試みる予定である。さらに、移植動物モデルにおける免疫細胞療法の実施へと繋げていきたいと考えている。
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