2009 Fiscal Year Annual Research Report
分泌型光プローブによる生体内リポーターシステムの開発と腫瘍診断・治療法への応用
Project/Area Number |
21659311
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾崎 倫孝 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特任教授 (80256510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近江谷 克裕 産業技術総合研究所, ゲノムファクトリー部門, 主幹研究員 (20223951)
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Keywords | 分泌型ルシフェラーゼ / 発光プローブ / 生体イメージング / 生体リポーター |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍などの病変に対する理想的な診断・治療法を確立し、発光・蛍光プローブによる新たなバイオイメージング法の開発を行なっている。分泌型ルシフェラーゼとしては、ウミホタル・ルシフェラーゼ(Cypridina-Luc : C-Luc)を用いるが、我々はすでにC-Lucをもちいた蛍光・発光プローブの作成に成功している。この分泌型のC-Lucは、細胞内で産生された後、小胞体-ゴルジ体を経由して、細胞外に放出されることが分かっており、この性質が非侵襲的な診断・治療に向けた大きなメリットと考えている(PLoS ONE 2(6) : 571 : 2007)。これは、Q-dotなどの蛍光物質よりサイズが小さいこと、2)発光系であるためUVによる励起を必要としないため、生体内ではQ-dotなどを利用したシステムよりも明らかに優れている。また、細胞内で産生後速やかに細胞外に放出されることが確認された。 C-Lucを遺伝子の発現リポーターとして作成し、生体内で発現させれば、ターゲットなる遺伝子の発現をイメージングすることにより部位を確認し、かつ血液中に放出されるC-Lucを測定することにより遺伝子発現の程度を同時に測定することが可能となる。H21年度、まずこのルシフェラーゼの生体内での動態を観察するために、C-Luc安定発現細胞株(膵癌細胞株)を作成し、ヌードマウス腹腔内に移植した。腫瘍細胞移植後、経時的に生体イメージングによる観察と血液中のルシフェラーゼ活性を測定した。また、最終的には、犠牲死させ実際の腫瘍サイズを確認した。移植後の腫瘍細胞は、日にちとともに増大し、生体イメージングにより非侵襲的に広がりを確認できた。同時に、5ulの血液をルミノメーターにて発光測定を行なったところ、腫瘍の増大に比例して、発光強度も強くなった。このプローブを用いることにより、非侵襲的かつ経時的に腫瘍サイズと部位を観察することが可能であることが示された。
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