2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659317
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
平野 茂樹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10018765)
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Keywords | 共培養 / 心肝混合細胞 / 鳥類漿尿膜 / 肝臓再生 / ニワトリ胚子 / ダチョウ胚子 / 肝細胞分化 / 移植 |
Research Abstract |
平成23年度の当初計画は肝臓組織を移植前に培養すると洞様血管内皮の原基が失われることの確認と、胎生期肝臓から成体型肝臓への形質転換の確認であったが、文献的に肝臓と心臓細胞との混合培養により類洞形成が促進されることを知り、先ず、ニワトリ胚子肝・心混合細胞を使った漿尿膜上での肝臓再生を検討した。その結果、これまでの肝臓細胞のみからの再生と比較し、心臓細胞との共培養は極めて効率の良い大型肝臓の再生に繋がることを見いだした。こうして得られた再生肝臓の組織学・細胞学的な分析を行い、再生肝臓が正常肝臓に近いものになっているか検討した。その結果、ニワトリ漿尿膜上で再生した大型再生肝臓は複数の小葉構造に類似した集団から構成されており、小葉中央の管腔が漿尿膜の静脈に連結していることから、肝臓の機能を遂行する上で重要な構造である中心静脈を備えた小葉構造の再生が示唆された。更に、肝臓細胞のみの再生で観察されたのと同様、移植1週間を過ぎる頃になると(正常発生に於いて孵化数日前)肝臓細胞の増殖が止まり、細胞質内に空胞が現れた。この空胞の出現は正常発生においても孵化近くなると観察され、生理的現象であることが示唆され、幼型から成体型への変化の指標となると考えられる。よって心臓細胞との共培養は肝臓細胞の分化に影響の無いことが判った。 ニワトリ漿尿膜上の再生所見を基にダチョウ漿尿膜上でのニワトリ胚子心・肝細胞混合培養を行ったところ、ニワトリ漿尿膜上での再生と全く同じタイムスケジュールで肝臓は再生し、直径3センチ以上にもなる再生肝臓が容易に得られることを確認した。(但し、長期間培養で肝細胞は空胞化を進め、その後死滅することが判明し、ダチョウ漿尿膜上での長期間培養は無意味であることが判った。) 以上の結果から、心臓細胞との混合培養で大型の肝臓の種が作れる可能性が出て来た。更に再生肝細胞の空胞化を成体型への転換と考えると、移植する場は生後の個体になるので都合が良いことになる。よって今後は哺乳動物の肝臓を鳥類漿尿膜上で再生させる際、心臓細胞との共培養がどの様な結果になるか確認することになる。
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