2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659357
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 正人 東海大学, 医学部, 准教授 (10056335)
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Keywords | 整形外科 / 移植・再生医療 / 組織工学 / 細胞培養 |
Research Abstract |
1994年Brittbergらが発表した自家軟骨細胞移植法ACIの臨床応用は、全世界で2万例以上に施行されている。しかし、患者の正常軟骨部から採取する移植用の関節軟骨細胞(AC)は採取量に限界があり、改善すべき点がある。特に高齢者の場合の再生能が乏しいACは、培養増殖能が低く広範囲治療が困難であった。一方、継代しても高い増殖能が変わらない滑膜細胞(SY)は、問葉系幹細胞の存在と軟骨細胞への分化能が報告されている。本研究の目的は、ACとSYからなる軟骨滑膜混合細胞体を作製し、細胞移植体の性状を観察並びに分析して新規ACI法への利用の可能性を明らかにすることである。. 日本白色家兎の膝由来のACとSYを培養して蛍光標識した後、高密度浮遊状態で振とう培養し混合細胞スフェロイドを作製した。細胞スフェロイドの姓状はRT-PCR(1型と2型コラーゲンの発現>と組織学的な評価(トルイジンブルー、サフラニン0染色並びに免疫染色)を実施した。細胞スフェロイドは培養24時間から形成され、SYとAC混合比いずれにおいても作製が可能であった。通常培養条件下での異種細胞が混在する構造物を構築することは困難であるが、本研究の作製法では細胞同士の接触の機会が多く、種類の異なる細胞同士でも混合細胞スフェロイドの構築が可能であった。また、1型と2型の発現とトルイジンブルーの異染性とサフラニン0の染色性が乏しかった性状から分化と脱分化の細胞が混在すると推測された。ACへの分化可能な間葉系幹細胞を含むSYは高い継代増殖率を示し、ACの部分的な代替として低侵襲での組織採取とその効率的な活用法として期待できる。AC及びSYは、振とう運動による持続的な反復により培養容器の底部に留まらず、培養液中に浮く懸濁状態で維持でき、振とう初期段階に現れた小さいサイズの混合細胞塊を中心として多数の他の細胞同士が迅速に接着するようになり、経時的に細胞スフヱロイドが成長した。5つの細胞含有条件のすべてにおいて細胞スフェロイドの作製が可能であった。この期聞中に、混合細胞塊は、スフェロイド培養開始後12時間から肉眼的にも観察可能であった。さらにスフェロイド培養時間が経過すると振とう培養開始後125時間には細胞スフェロイドは凝縮して輪郭は滑らかになった。細胞スフェロイドのサイズは、小さい場合は、直径が250±100μm、大きいの場合は、700±250μm程度であった。
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Research Products
(3 results)