2009 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症罹患軟骨の層間の比較によるタンパク分解酵素発現機序の解明
Project/Area Number |
21659360
|
Research Institution | Clinical Research Center for Allergy and Rheumatology, National Hospital Organization, Sagamihara National Hospital |
Principal Investigator |
福井 尚志 Clinical Research Center for Allergy and Rheumatology, National Hospital Organization, Sagamihara National Hospital, 病態総合研究部, 研究部長 (10251258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三富 弘之 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 病態総合研究部, 特別研究員 (90181940)
|
Keywords | 変形性関節症 / cDNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
研究初年度の平成21年度は10症例のOA膝関節から得た軟骨を浅層、中間層、深層に分けてそれぞれからRNAを抽出し、これを用いてcDNAマイクロアレイによる解析を行った。用いたアジレント社のマイクロアレイには合計43376個のプローブが載っていたが、このうち有効なシグナルが検出できたものが32007個あった。このプローブについて3群間で有意の差があるか否かを一元配置分散分析(ANOVA)で解析したところ3層間で有意の発現差があると判断された遺伝子は11212遺伝子であった。 1.これらの遺伝子について比較的厳しいBonferroniの基準を用いて多重比較を行った場合、3つの層間で発現レベルに有意差があった遺伝子は504遺伝子(有意水準5%)、またこれより緩やかな基準であるBenjamin and Hochberg法によるfalse discovery rate (FDR)補正を行った場合には7672遺伝子(有意水準5%)が見出された。 2.S層、M層、D層に特異的に発現していると判断された遺伝子はそれぞれ728個、11個、216個あり、またS>M>DあるいはS<M<Dの順で発現レベルが変化していると判断された遺伝子が131個見出された。 このように全体の遺伝子発現のプロファイルを解析すると、浅層と中間層、深層の問で遺伝子発現のパターンが異なるものが多いことが明らかになった。これはS層にはもともと性格の異なる細胞が存在することのほか、OA関節においてこの層が病的な性状の関節液に長期間暴露されていることにもよるのではないかと考えられた。本研究の研究機関は既に終了しているが、今後層特異的に発現が変化していた遺伝子についてパスウェイ解析を進め、遺伝子発現の機序を推定する検討を行う予定である。また正常軟骨からも軟骨層に分けてのRNA抽出-マイクロアレイによる解析を試み、既に得られたOA軟骨における結果と対比、検討をする予定である。
|
Research Products
(10 results)