2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659367
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松永 明 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70284883)
|
Keywords | 水素吸入 / 全脳虚血再灌流 / 遅発性神経細胞死 |
Research Abstract |
水素ガスが細胞毒性の高い活性酸素種であるヒロドキシルラジカルを選択的に消去し、虚血再灌流障害を抑制することが確認され、ラットの中大脳動脈閉塞による局所脳虚血再灌流モデルにおいては、2%の水素ガス吸入が脳梗塞の範囲を縮小し、神経学的予後を改善させることが報告されている。水素ガス吸入が心肺停止からの救命率の向上、および蘇生後脳症の発症の予防に有効かどうかを確認するために、Wister系ラットを用いた全脳虚血再灌流モデルを作成し、水素ガス吸入による脳神経保護効果について検討を行った。 気管挿管による全身麻酔下でPulsinelli法による10分間の全脳虚血を行い、1)水素吸入群は再灌流後より100%酸素ガスに2%水素ガスを混合したガスを1時間吸入、2)対照群は再灌流後より100%酸素ガスを1時間吸入した。虚血再灌流3日後に脳を摘出し、海馬を通る前額断切片を作成した。ヘマトキシリンーエオシン染色後、光学顕微鏡下で海馬CA1部を観察し、正常および障害錘体細胞を算出した。水素吸入群と対照群において、海馬の生存CA1細胞数に有意差を認めなかった。 局所脳虚血再灌流モデルでは水素ガス吸入の脳神経保護効果を認めているが、我々の全脳虚血再灌流モデルにおいては、水素ガス吸入による遅発性神経細胞死の抑制効果を確認できなかった。今後、局所脳虚血再灌流モデルで認めた水素ガス吸入による脳神経保護効果が、全脳虚血再灌流モデルにおいて確認できなかった原因について、さらに詳しく検討する必要があると考えられた。
|
Research Products
(4 results)