2009 Fiscal Year Annual Research Report
ELシート発光ブレードの開発と新しい小切開手術の開拓
Project/Area Number |
21659372
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
野村 照久 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (10252040)
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Keywords | ELシート発光 / 面発光ブレード / 小切開手術 / scopeless minimum invasive surgery |
Research Abstract |
小切開手術のみならず、いかなる開腹術にも使用可能な面発行ブレードの開発を目指した。まず、実際のミニマム創手術用器具を模した開創ブレードをステンレスで作成した。光源として、面均一発光性、無志向発光性、高屈曲性・易工作性に優れた無機ELシートを使用した。これを開創ブレードの表面に貼り付け、漏電防止のため、透明絶縁テープで包埋後シリコンコーティングを行った。これを用いて、絶縁検証、照明および視認性の検証、ELシート表面温度検証、耐滅菌性の検証等を行った。生理食塩水に浸漬して行った漏電実験では、作成した5個のELブレードのうち1個で単一故障状態の規定値内に収まる漏れ電流が検出された。また他の1つでは測定中に発光しなくなった。漏れ電流は微量で最低限の安全性は確保されていると考えられた。照度実験では実際のミニマム創内部を模した直径10cm、深さ10cmの筒を作成、4方からEL開創ブレードを設置して行った。電源にアルカリ単3乾電池2本を使用したところ、開始当初の照度は60-1201xと十分であったが徐々に低下し、8時間後で約半分の照度まで低下した。腹腔内を模した赤色のgradationを使用し、筒内での視認性を検証したところ、照度が十分でもELシート発光色の種類により視認性が変わることがわかった。シート表面温度に関しては発光時間6時間を経過しても30度未満を維持し、低音熱傷の危険性は否定された。滅菌実験では、高圧蒸気滅菌ではELシートが溶けてしまったが、EOG滅菌では、その前後で照度に全く変化は無かった。以上の結果から、より高いレベル、技術の絶縁処理と電力供給方法の改善(とくに商用交流100vを使用したものなど)を施したEL開創器はミニマム手術において非常に有用と考えられた。今後は、これらの検索とともに、開発したEL開創器の生体への影響を動物実験を含めて詳細に行う予定である。
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