2011 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞への自己抗原ミモトープの標的化によるがん特異的免疫反応の誘導
Project/Area Number |
21659374
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
花房 直志 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助教 (00228511)
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Keywords | 癌 / 免疫学 / PCDH11Y / 免疫療法 |
Research Abstract |
我々はがん特異的な抗原(がん抗原)を標的とする免疫治療の実現を目的に研究を進めている。本研究は前立腺がん特異的に発現する遺伝子PCDH11YbのCD8 T細胞エピトープ、およびそのミモトープの同定を目的としている(ミモトープとはエピトープとは異なるアミノ酸配列であ物ながら同じCTLクローンを誘導しうるアミノ酸配列を意味する)。本年度の研究ではエピトープ配列の同定、さらに抗体との融合タンパク質を用いた樹状細胞へのミモトープの効率的な標的化システムの構築等を目的とした。 1 前立腺がんの新規がん抗原PCDH11YbのCD8 T細胞エピトープおよびミモトープ配列同定 PCDH11Yには十数種のアイソフォームが存在する事が知られそいる。前立腺がんで特異的に発現するPCDH11Ybに特異的なアミノ酸配列の部分を用いて、HLA-A2結合モチーフを持つペプチドを選択し合成した。これらを用いてヒトHLAを発現するマウスより特異的CTLクローンを誘導する手法で実験を行った。現在まで有意な反応を示すクローンは得られていないが、今後も得られたCTLクローンが認識するエピトープペプチドを改変し、より低濃度でCTL誘導能を示し、より強い細胞傷害能を持つミ'モトープ配列を同様に探索していくことを予定じている。 2 CD8T細胞ミモトープを運ぶ抗DEC-205融合抗体を構築する。遺伝子工学的に同定したCD8 T細胞エピトープおよびミモトープ配列を運ぶ融合抗体を作成し、樹状細胞への標的化を試みる。ベクターの作成を終え、エピトープおよびミモトープ配列を組み込める段階までの準備が完了した。 3細胞外ドメイン特異的sc抗体の作成とヒト化。前立腺がん細胞において細胞増殖シグナルを伝達する膜タンパク質であるPCDH11Yは抗体療法の標的として利用できる可能性があるため、細胞外ドメイン特異的scFv抗体の作成を試みた。幾つかの細胞外ドメインに特異的なscFv抗体の単離を行った(第70回日本癌学会学術総会新規前立腺がん抗原プロトカドヘリンUに対するscFv抗体の作成花房直志他)。さらに得られた抗体のヒト化を行った。 作成済みの昆虫発現系を用いて大量産生を可能とした組換えPCDH11Yタンパク質とPCDH11Yに対する特異的ヒト化抗体による抗原抗体複合体はがん特異的CTL反応の誘導に対して当初目的としていた抗原エピトープの樹状細胞へのターゲティングと同様の効果が得られるものと予想している。研究は予定した期間内に完了していないが、これまでの成果をもとにさらに研究を進めたい。
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Research Products
(1 results)