Research Abstract |
(1)前年度に引き続き,種々の表面をポリマー加工したナノサイズ酸化チタン微粒子を作成し,水溶性で溶液内で固まらず,化学的に安定な微粒子を選択し,それらに蛍光を付加したハイブリッド微粒子を作成した。前年度に作成したTiO_2-PAA-蛍光体ハイブリッド微粒子に続いて,同じ手法を用いてこのポリマーを付加するとTiO_2-PAAよりもさらに化学的に安定で溶液内で凝集しないハイブリッド体として,TiO_2-PEG微粒子とTiO_2-PEG-蛍光体を得ることができた。これらの微粒子は,TiO_2-PAAが表面荷電が陰性であるのに対して,TiO_2-PEGは中性であるので,培養がん細胞への取り込みや細胞表面への吸着に優れており,また,光触媒活性を十分に持つことがわかった。 (2)TiO_2-PAA-蛍光体ハイブリッド粒子での静脈内投与での安全性と体内分布,代謝を検討し,生体への毒性は殆どなく,肝および腎臓で代謝されることが分かった。また,TiO_2-PEG蛍光体もまた静脈内投与で生体への毒性はなく,肝および腎臓で代謝されることが分かった。 (3)また,TiO_2-PEG-蛍光体をヒト膀胱がんのヌードマウス皮下移植腫瘍を作成し,静脈内投与で腫瘍内へ投与し,蛍光をトレーサーとして集積を検討した。その結果,このハイブリッド体はがん腫瘍内に選択的に取り込まれ,48~72時間腫瘍内集積することが明らかとなった。 (4)また,この集積店をめがけて,TIO_2の励起光である360~380nmの近紫外光を照射し,抗腫瘍効果を得ることができた。 (5)これらのことより,ポリマー加工したTiO_2ナノ微粒子は膀胱がんの診断と治療への応用が可能であることが明らかとなった。
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